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突発性発疹(とっぱつせいほっしん)とは?原因・症状・治療方法について解説|【医師監修】「救急病院一覧あり」

[2022.02.24]

目次

 

突発性発疹とは?

突発性発疹は高熱を出す子どもの病気として有名です。
子どもはよく発熱するものではありますが、高熱が出ると特に心配になりますよね。
突発性発疹は高熱が出た後、発疹が出現するという特徴を持っていますが、この病気がどんな経過をたどるのか、あらかじめ知ることが出来れば、安心して子どものケアにあたれますね。

ここでは突発性発疹について、原因・症状・治療などについて詳しく説明していきます。
さらに、症状が続く時にはどんな時が病院受診するべきタイミングなのか、自宅でのケアの方法やポイントにはどんなものがあるのか、保育園や幼稚園にはどんな状態に回復すれば登園できるのか、などについても説明していきます。
ご一読し参考になさってみてください。

突発性発疹とは、多くのお子さんが生後6ヶ月から3歳頃にかかる感染症のことです。
感染症とは、病気を起こす微生物(病原体)がヒトや動物にくっついて体の中に入りこみ、その微生物によって起こる病気のことをいいます。 突発性発疹を起こす病原体は、ヒトヘルペスウイルス6と7で、これが体に侵入して10日ほどの潜伏期間を経て症状を起こします。(ヒトヘルペスウイルス7については潜伏期間は不明です。)
このヒトヘルペスウイルスにはほとんどの大人が感染し、症状を発症した経験を持っています。
そのため大人の体内にはヒトヘルペスウイルスが潜んでおり、主に患者である子どもの両親の唾液を感染経路として子どもに感染すると考えられています。
突発性発疹はこのヒトヘルペスウイルス6か7のどちらかの感染で子どもが初めてかかる病気としても有名です。
この病気は季節に関係なくいつでもかかる可能性があります。

一度、突発性発疹にかかった後でも、ヒトヘルペスウイルスと似たような症状をもたらすウイルスがあるため、突発性発疹に2回以上かかる場合もあります。
また、感染して症状がなく経過したものの、体内に潜んでいたヒトヘルペスウイルスが、体調が悪い時に活性化してあらためて発症することもあります。

症状は?

主な突発性発疹の症状は、発熱と発疹です。
38度以上の高熱が3~4日続き、熱が下がり始めた頃に赤い発疹が体から出始め、顔や手足にも広がっていきます。
発疹とは吹き出物や水疱など、見た目でわかるような、皮膚に現れる症状のことを言います。
ブツブツしていたり、赤くカサカサしていたり、赤く盛り上がっていたり見た目は様々です。
突発性発疹の湿疹はプツプツとしたものが多く数日間続きます。
熱があるうちは診断がつかず、熱が下がってきて発疹が出たのを見て初めて突発性発疹とわかることもあります。
この発疹は皮膚内の毛細血管が部分的に大きくなって赤く見えるもので痒みはありません。
赤くて小さいプツプツが多く、2~3日から長くても1週間以内には消えていきます。
プツプツは基本的にはきれいに消えるので、あとには残りません。

その他に一緒にみられる症状としては、多くの子どもが、便が柔らかくなったり、下痢になったりします。
また、ヒトヘルペスウイルスに感染しても症状が出ない場合は20〜40%はあります。

まぶたがむくんだり、頭の大泉門が盛り上がったり、リンパ節が腫れたりといったこともありますが多くは発熱と発疹のみで経過します。
また、解熱後に不機嫌になるので別名「不機嫌病」とも呼ばれています。

突発性発疹は、病気が重くなる経過をたどることは少ないのですが、発熱初期に熱性けいれんを起こす事があります。
まれに脳炎、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病などの重い合併症を起こすこともあります。
脳症は熱が下がり発疹が出てくる時期に発症する場合が多く、その症状は、極端に機嫌が悪い、意識状態がいつもと違う(呼んでも返事が曖昧、返事がないなど)場合には注意する必要があります。
特に症状が起きたときには知っておくと良い熱性けいれんと脳症の症状について詳しく説明します。
劇症肝炎と血小板減少性紫斑病についてはどんな症状がでるのか簡単に説明します。

熱性けいれん

熱性けいれんとはいわゆる「ひきつけ」のことです。
高熱が出たときに白目をむいて、全身を突っ張らせる強直性けいれんというけいれんで、ガクンガクンと手足をふるわせたりする状態になります。
0〜5歳くらいまでの間に38度以上の発熱に伴って起き、発症確率は7~8%とされています。

重くない熱性けいれんを単純型と呼びます。
この単純型と呼ばれる熱性けいれんにより知能低下や脳障害がおきることはありません。
身体をふるわせるけいれん発作が15分間以内で、24時間以内に1回のみ、けいれんによる体の反応が左右対称である、などの特徴があります。 しかし、確かに単純型であるという診断をつけるには様々な病気の否定が必要で、多くの検査を実施する必要もあります。

熱性けいれんが起きてしまった時の対処法です。
けいれんが起きると、ほとんどの人は動揺してしまうことが多いので、まずは落ち着いてください。
けいれんが起きている時間や回数を計り、けいれんの体の反応が左右対称であるかを確認します。
けいれんがおちついて来たら横向きに寝かせます。
けいれんでは嘔吐することがあるので、吐物で喉を塞ぎ呼吸が出来なくならないようにするためです。

けいれんが5分以内におさまって、その後によびかけに反応し、しっかり視線が合い、行ったことに従える様子があれば、救急車でなくても良いですが、けいれん後には必ず一度病院を受診しましょう。
発作が5分以上続く場合には救急車を呼ぶ必要があります。

脳症

急性脳症を疑う主な症状は3つあります。
意識障害(意識がもうろうとし、話しかけたり、刺激したりしても応答がない。)
けいれん(高熱が出たときに白目をむいて、全身を突っ張らせ、ガクンガクンと手足をふるわせたりする。)
嘔吐(頭の中の圧が何かの原因で高まり、脳が圧迫される事による反応として嘔吐する。)

意識障害は、意識障害の症状の出現した全ての患者さんで同じような反応ではなく程度の差が大きいため、よく観察が必要です。

叩いてもつねっても目もあけられない場合から、声をかければ目を開けるけど視点が合わずぼんやりしているような状態など差があるので判断が難しい場合があります。
しかし、保護者の方から見て「いつもの様子と違う」と思えばすぐに小児科外来を受診するようにしましょう。

突発性発疹から急性脳症を発症した場合のその後、完治し後遺症がなく過ごせる方は50%ほどです。
突発性発疹により急性脳症になった方の45%は命が助かっても程度は大小様々ではありますが後遺症が残ってしまいます。
突発性発疹による急性脳症の場合には、前頭部が侵されることが多く、前頭部が担う機能の自発性や発語に関する部分には支障が出る場合があります。
急性脳症の後遺症には、知的障害、運動性麻痺、てんかんなどがあげられます。

急性脳症は予防が難しく、誰にでもかかる恐れのある病気です。
後遺症を防ぐためには早く見つけ、早く治療を開始する事がとても大切です。
けいれんが起きたらその後は必ず受診するとともに「いつもの様子と違う」お子さんの状態は放置せずに受診して診てもらう事を忘れないようにしましょう。

劇症肝炎

劇症肝炎とは、突発性発疹が原因のウイルスによる感染で、肝臓にひどい炎症を起こした状態をいいます。
最初の症状としては、発熱、筋肉痛などの風邪に似た症状から始まり、全身のだるさや食欲不振などが多く見られます。
その後、体や目の色が黄色くなる黄疸と、おしっこが濃褐色になるのとともに発見されます。

血小板減少性紫斑病

血小板減少性紫斑病とは、突発性発疹が原因のウイルスによる感染で、血小板という出血した時に血を固まらせる成分のひとつの数が少なくなってしまい、血を止める力が弱まり出血が止まりにくい状態になることをいいます。
出血しやすい状態のため、主に皮下出血や歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血などを起こす可能性があります。
皮下出血では、出血した状態が点々として見える点状出血や斑点状に見える紫斑型の出血が特徴的です。

治療や処置とは?

突発性発疹は自然治癒する病気なので、特別な治療や処置は必要はありません。

熱が出た時や下痢をしている時には、対症療法として解熱剤や下痢止めなどの内服薬を処方したりすることはありますが、基本的には重症化することは少ない病気なので、高熱を出している時には、けいれんを起こしていないか注意して観察していれば経過を見ていて大丈夫なことがほとんどです。

もし、免疫抑制状態(移植患者、AIDSなど)にあれば、抗ウィルス薬の使用を検討する場合もあります。

突発性発疹に予防は必要か?

突発性発疹は先述の通り、特効薬というものはなく自然治癒する病気であり、誰もが感染するウイルスが原因のため、予防すべき必要のない病気です。

ただ、3歳くらいまでの間に必ず感染する病気として、突発性発疹とはどんな病気か、発熱への対処方法や重い症状はどんなものであるかを保護者の方が事前に知っていることが、お子さんの健康の管理には大切であると言えます。

突発性発疹になった時の自宅でのケアのポイント

それでは、突発性発疹になったら自宅ではどんなケアが望ましいのでしょうか。
突発性発疹は高熱が続く病気ですので、体温調整や水分補給、重い症状への移行がないか意識の状態をよく観察することが、重要なケアのポイントになります。

他には食事摂取に関すること、や自宅で過ごすために必要な部屋の室温や加湿、安静の保ち方、清潔の保ち方に関することもケアをする上で大切なことです。
そのケアの方法に関してひとつずつ詳しくポイントを挙げていきます。

発熱時の体温調節のポイント

体は入ってきたウイルスやバイ菌を退治するために体の熱を上げて応戦します。
体が急激に高熱になる時には、強い震えを伴います。
この強い震えのある時には体がガタガタとして震え、体は冷えて寒さを感じています。
そのときには、唇の色も青ざめていることが多く、顔色が青白い印象になります。
手足の指先は、血管が収縮することで触ると冷えています。

寒さを訴えたり、震えがあれば体をしっかりと温めてあげましょう。
かけものを増やすだけでなく、肌着を重ねて着せるのもの保温効果が高まります。

熱の上昇がおさまると寒気やふるえもおさまり、今度は体が熱くなります。
子どもが掛物をはぐような仕草をすれば、体が熱くなったサインかもしれません。
頬が真っ赤になっていたり手足の指先も熱を持つのも熱が上がっているサインです。

背中に手を入れて汗をかいていたら着せすぎです。
その時には体温の調整が必要で、掛け物を薄いものにしたり、少しはいでみたりしましょう。
汗をかいていれば暖かいお湯で絞ったタオルで体を拭いて寝衣を交換し、汗により体が冷えるのを防ぎましょう。
シーツが汗で濡れればこちらも交換すると、また再び汗をかいても、汗の湿気を吸ってくれるので熱を下げるのに効果があります。

脇の下や背中にタオルを巻いたアイスノンを入れておくと熱が下がりやすくなります。
お子さんの気持ちの良い状態が良いので、寒がっていたり、冷たがったりする時には無理に入れないようにします。
また、たくさん入れると、子どもは身体が冷えすぎて危険なので、使用する場合には小さいものを1.2個にするようにしましょう。
冷えピタをおでこに貼る行為には体温を下げる効果はないので、子どもが気持ち良いなら使用するくらいの効果と考えてください。
寒さを感じている時には体を温め、身体が熱くなったら放熱するように寝衣や掛け物を調整するのが大切なポイントです。

おしっこを観察するポイント

おしっこを観察することは、体の中で起こっていることを知る上でとても大切な情報です。
特に熱が出て、機嫌が悪く、水分もあまり取れていない状況では、おしっこの色や量を見て脱水になっていないかを判断することができます。
もし脱水になってしまっているのに、飲めない、食べれない場合は、受診をして点滴が必要になる場合もあります。
そのため、おしっこの量を観察することはとても大切なことなのです。

おしっこは普通は淡黄色といって薄い黄色ですが、体の水分が減ってくると黄色が濃くなりオレンジ色に近づいていきます。
おしっこの量を簡単に知るには、おしっこの回数をカウントすることです。
1日に何回おしっこに行ったか。
またはオムツ上にいつもの量のおしっこが出ているか、同じか少ないか、回数はどうか。
といったことを観察します。
色が濃くて、回数や量が減ってくれば水分摂取を増やしたほうが良いということになります。

しかし、水分摂取をしたほうがいいのに嘔吐していて飲ませることができない、意識がもうろうとしていて飲ませられない、などの時は点滴が必要になる場合があります。
小児科を受診しましょう。

水分摂取のポイント

発熱している時は、体は熱を下げるために汗や皮膚から体の水分を蒸発させています。
水分摂取により体の中に入った水分には、熱を下げたり身体の中のバイ菌を外に出す大切な働きがあります。
熱を出すと体からどんどん水分が使われてしまうので、水分摂取はこまめにしていく必要があります。

しかし体が弱っている時は胃腸も弱っているので、一度にはたくさんは飲めないことがあります。
水分はひとくちずつでもかまいませんので、こまめに少しずつ与えるよう意識をしてください。
水分摂取は、熱が上がりきった時や、意識がもうろうとしていない時を選ぶと良いです。
だるくて眠くてうとうとしている時に無理に飲まそうとすれば、謝って水分が気管に入ってしまい、誤嚥の危険性もあるからです。
水分や栄養があまりとれない時は電解質も不足するので、乳幼児用のイオン系飲料などを飲ませると電解質も摂取できて良いですよ。
他には、湯ざまし、麦茶、乳幼児用イオン飲料、経口補水液、うすめた果汁、野菜スープなどで水分補給をしても良いですね。

食事摂取のポイント

突発性発疹は高熱が3.4日続き、湿疹の治ってくるまで不機嫌が続くという特徴があります。
その程度に個人差はあるものの、食事の量はほとんどのお子さんで減ってくると思います。
では、食事はどれだけ食べさせてれば良いと思いますか?

基本的には水分さえ不足しなければ、食べられなくてもあまり気にする必要はありません。
突発性発疹では消化器症状を伴うこともあるため、そもそも胃腸が食事を受け付けられない状態になっている場合もあります。
胃腸は、食べものが入らなければ活動する必要がなくなって休むことができるので負担が減ります。
消化に負担がかからなくなると、痛めた粘膜の修復が進み、回復に向かいます。

よく消化器系の病気で入院すると絶飲食といって、水さえも禁止で点滴だけで水分と栄養を補給しますが、それは胃腸に負担をかけないことが治療になるからです。
そこまでの状態とは違いますが、もし吐いたり下痢をしたりしていなくても、ウイルス感染により体が弱っていることは確かなので、食欲が減っていても不思議はありません。
突発性発疹で吐いたり、下痢をしていたりすればなおさら、子どもが食べない時は無理に食べさせようとしなくても大丈夫です。

全く食べさせなくてもいいというわけではないので、食べられるときに望むものを少しずつ与えるようにしていくのが食事摂取のポイントです。

熱が高くて食欲がないときは、消化がよく喉ごしのよいやわらかいものにしましょう。
お子さんの食べられるものを少しずつ与えます。
おかゆ、うどん、市販の離乳食、アイスクリーム、プリン、ゼリーなどを与えても大丈夫です。

顔色を観察するポイント

顔色をよく見ると、活気はあって遊んでいるけど、実はほっぺがいつもより真っ赤で熱があったとか、唇の色がうすーくなっていて手足が冷えていたとか、目の下にクマができていて、よく聞くと実はよく眠れていなかったりとかということがあります。
体の変化を顔色から判断することもできるのでよく観察しましょう。

顔色は、いつものお子さんの顔色と比較して考えましょう。
ほっぺや唇は色が変化しやすいのでわかりやすいですね。
赤ければ身体が熱いかもしれないので身体を触ってみましょう。
また、青ければ寒いかもしれないし、意識の状態に変化があるかもしれません。
いつものお子さんの顔色と比較してどう違うかを捉えるのがポイントです。

意識障害がないかを見るポイント

意識がしっかりしている状態というのは、目が覚めていて、周りの状況を認識し、反応することができる状態のことをいいます。
意識障害とは、なんらかの状況により、その反応が低下していることをいいます。

具体的には、視線が合わない、おもちゃや動くもの人をしっかり目で追うことができない、手足の動きや力の強さに変化がある、もうろうとしていてこちらの声かけに反応が薄かったり反応がない、目が開いていてもぼーっとしている、などが挙げられます。

意識障害がないかは、いつものお子さんの状態と比較して考えることが大切です。
意識障害があるかを見る上で「いつもと違う」があるかが意識障害を観察する上で大切なポイントです。

部屋の環境を整えるポイント

お子さんの寝ているお部屋の環境にも気をつけましょう。
室温は暑すぎたり寒すぎたりしないようにすることが大切です。
熱があるからと部屋を暖めすぎると室内が乾燥することにつながり、余計に寝苦しくなることがあります。
室温は秋から冬にかけては20℃前後、夏は26℃~28℃位が適温と言われています。
基本的には大人が快適と思える温度で大丈夫です。

時々は窓をあけて換気をしたり、濡れたタオルや洗濯物を部屋にかけるなどの工夫をすると湿度を保つことができます。
加湿器を使う場合は、水をこまめに換えて清潔にするようにしましょう。
加湿器内でカビが繁殖すると雑菌を部屋中にばらまいてしまうことになりますので気をつけましょう。

もしお部屋の照明をまぶしがるときは照明を暗くするようにしましょう。
お子さんの眠りやすい環境を整えることもたいせつです。

安静を保つポイント

安静を保つにはなるべく室内で静かに過ごすことが大切ですが、無理に寝かせなくても大丈夫です。
体が楽になるまで抱っこしたり添い寝をしたりして、お子さんが静かに休めるようにしてあげましょう。
体の抵抗力が下がっていますので、症状があるときは外で遊ばせることは避けましょう。

清潔を保つポイント

熱があり、倦怠感や嘔吐や下痢などの症状がひどい時はお風呂は控えたほうがよいでしょう。
お風呂は体力を消耗するため症状が悪化することがあるので注意しましょう。
汗をかいたら暖かい蒸しタオルで体を拭いたり、こまめに着替えをすることによって気持ちよく寝られるようにしてあげましょう。
解熱し機嫌が戻って元気が出てくればシャワー浴をして体を清潔にします。
もし目やにがある時は、目のまわりを傷つけないようにガーゼでやさしく拭きとってあげましょう。
湿疹があると刺激が辛いかもしれないので、ゴシゴシこすらずに優しく押し拭きしてあげましょう。

電子レンジを使った蒸しタオルのつくり方

体を拭くための暖かいタオルは電子レンジでつくれます。
水で硬く絞ったタオルを耐熱用のジッパー付ビニール袋にいれて、1本を1~2分加熱するとできあがりです。
熱くなりすぎることがあるので、その場合は開いて少し冷ましてから適温にして使うようにしましょう。

病院を再診したほうが良いのはどんな時?

一度小児科外来を受診して、突発性発疹の診断を受け、自宅療養をしていたものの経過が思わしくなくもう一度受診する必要があるのはどんな状態でしょうか。

熱と皮膚のプツプツの両方が4日以上続いている。

突発性発疹では、高熱が3.4日続いて解熱し始めた頃に発疹が出はじめる特徴のある病気ですので、熱の後に湿疹という経過を辿りますが、熱も皮膚症状も4日以上というのは、突発性発疹以外の病気が隠れている可能性もあるため、症状の程度や経過には個人差はありますが、一度受診したほうがよいでしょう。

水分がとれない。

突発性発疹では高熱にともなって消化器症状が出現する場合があり、下痢や嘔吐を起こすことがあります。
その場合、水分摂取ができていれば、食事は無理に摂取しなくても大丈夫ですが、水分だけはとれないと体が脱水を起こしてしまい、体が危機的状況になってしまうので、水分が摂れないくらい吐き気が強かったり、吐いている場合には点滴が必要になります。
その場合には受診する必要があります。

嘔吐や機嫌の悪さなどの他の症状がひどい。

突発性発疹になると消化器症状で吐いたり、機嫌が悪くなったりする症状はあるものの、その症状が強く辛そうな場合や、聞いていた突発性発疹の症状から大きく外れると思う場合は、単に症状が強く出ているのか、他の病気が隠れているか診断が必要なので受診が必要です。

顔色が悪く、手足がだらんとして視線が合わない、はっきりしない。

突発性発疹の合併症には熱性けいれんや脳症など、発症すると意識の状態が悪くなる経過を含むものがあります。
いつものお子さんの状態と違って、顔色が真っ白だとか、手足の力が入らない、視線が合わない、声かけに対して返答が曖昧といった反応はそういった合併症を起こしている可能性もありますので、様子を見ないで早く受診をしたほうがいい場合があります。
いつものお子さんの状態と違う場合には受診するようにしましょう。

けいれんを起こした。

自宅でけいれんを起こしたものの、けいれんが5分以内におさまって、その後によびかけに反応し、しっかり視線が合い、言ったことに従える様子があれば、救急車でなくても良いですが、けいれん後には必ず一度、病院を受診しましょう。

重くない熱性けいれんを単純型と呼び、この熱性けいれんにより知能低下や脳障害がおきることはありません。
しかし、その診断には様々な病気の否定が必要で、多くの検査を実施する必要もあります。
けいれんを起こした原因に、熱性けいれん以外の病気が隠れている場合があるので診てもらいましょう。
※発作が5分以上続く場合には救急車を呼ぶ必要があります。

上記の症状に限らず、お子さんを看病していて感じる不安なことや心配なことがある場合や、受診して先生に直接診てもらった方が安心できる場合は医療機関に連絡し受診しましょう。

経過観察か受診か救急かの判断がつかない時

お子さんのケアに当たっていて、このまま様子を見ていて良いのかわからない時があると思いますが、そんな時には相談できる窓口がありますよ。

「こども医療でんわ相談(#8000)」というのがあり、受診すべきか、もう少し様子を見ても良いか、救急車を呼んだほうがいいか、などの相談に乗ってくれます。

かかりつけのクリニックや病院が休みで受診したくてもできない場合には、休日・夜間診療所や当番医などに受診が必要かどうかを相談するのも良いですよ。

地域の休日・夜間診療所や当番医は、お住いの市区町村の発行する広報に記載されていたり、市区町村のホームページにも記載があります。 お住いの市区町村では、地域の休日・夜間診療所や当番医はどこに明記されているか確認しておくのも良いですね。
上手に利用して適切な治療を受けられるようにするとともに、保護者の方の看病の心理的な負担を減らすようにしていきましょう。

子ども医療でんわ相談(#8000)や休日・夜間診療所や当番医などに電話する場合には、聞きたい事をメモしてから電話すると良いです。
電話では緊張しますし、後から聞いておけばよかったと思う事もあるので、気になる事や、これだけは聞いておきたいと言うことなどは電話の前にメモを書いて、話す時にはメモを置いて見ながら話すと良いでしょう。

救急車を呼ぶことになったら?

もし、受診を待つような状況では間に合わない、すぐに救急要請が必要になったという場合に救急車を呼ぶまでの段取りはわかりますか?

救急車の呼び方、救急車を呼んだら電話で聞かれること、救急車がくるまでに用意しておくもの、救急車が来たら伝えること、というのがわかるととてもスムーズです。
以下に、実際に救急車を呼んだ場合の流れのまま記載していきます。

救急車の呼び方

「119番」に電話をかけます。
119番通報をすると救急車の出動に必要なことを順番に聞かれます。
話をしながら緊急性が高い場合は、話を聞き終わる前でも救急車が出動します。
緊急の事態に気が動転してしまうかもしれませんが、慌てずゆっくりと話すようにこころがけましょう。

1.救急であることを伝える

救急ですか、火事ですか?と聞かれたら「救急です」と答えてください。

2.救急車に来てほしい住所を伝える

住所はどこですか?と聞かれたら「市町村名」から伝えてください。
住所が分からない時は、近くの大きな建物、交差点など目印になるものを伝えてください。

3.具合の悪い方の症状を伝える

どうしましたか?と聞かれたら「最初に、誰が、どのようにして、どうなった」と簡潔に伝えてください。
また、分かる範囲で意識、呼吸があるかを伝えてください。

4.具合の悪い方の年齢を伝える

おいくつの方ですか?と聞かれたら「具合の悪い方の年齢」を伝えてください。

5.あなたのお名前と連絡先を伝える

あなたの名前と連絡先を教えてくださいと言われたら「あなたのお名前と119番通報後も連絡可能な電話番号」を伝えてください。

救急車がくるまでに用意しておくもの

救急車が来るまでに用意しておくと便利なものは、 保険証や診察券、お金、普段飲んでいる薬とおくすり手帳、母子健康手帳、紙おむつ、ほ乳瓶、タオル、靴。

救急車が来たら伝えること
1.体調が悪くなってから救急隊が到着するまでの様子やその変化。

例えば、何時ごろから声をかけても反応が悪くなり、寝ているというよりはぐったりしているように見えた…。など

2.おこなった応急手当などの内容

例えば、けいれんを起こしていたので、仰向けにして顔を横に向けて、吐いたものは口からぬぐって出した、など。

3.お子さんの普段の情報

既往歴、かかりつけの病院やクリニック、普段飲んでいる薬、医師の指示など。
既往歴、かかりつけの病院やクリニックなどは、日頃からメモにまとめておくと便利です。

救急車をみんなで「安心して利用できるようにするため」に必要なこと。

近年、救急車の出動件数・搬送人員数はともに増えており、 救急隊の現場までの到着時間も遅くなっています。
また、救急車で搬送された人の約半数が入院を必要としない軽症という現状もあり、消防庁では救急車を上手に使うためのリーフレットを作成して民間への啓蒙活動に乗り出しています。

この中には、 救急車を呼んだら用意しておくべきものなどの「救急通報のポイント」 重大な病気やけがの可能性がある「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」実際に救急車を呼ぶ場合の「救急車の呼び方」などを載せています。
救急車を呼ぶべきかどうか判断に困った場合などに 活用できるようになっています。

救急車や救急医療は限りある資源です。
まず「こども医療でんわ相談#8000」などの窓口を上手に利用し、みんなが救急医療を安心して利用することができるように協力していきましょう。

突発性発疹が別名「不機嫌病」と言われるゆえん

突発性発疹は別名「不機嫌病」とも言われています。
なぜそのように言われるかについては、突発性発疹を発症してからの症状の経過に関わりがあります。

一体どのくらい不機嫌になるかというと、不機嫌という名がつくほどなので、癇癪、凶暴化、泣き止まない、ご飯を投げる、皿を投げる、などもう熱が出ている時がまだ楽と思えるぐらいの暴君になるからなのです。

あるママのエピソードでは、生まれて初めて熱を出した娘さんが病院で見てもらった結果、突発性発疹と診断されたのですが、3日経って熱が下がったと同時に出てきた発疹をみて、もう治るのも時間の問題と安心したころに、その「不機嫌」がやってきました。

解熱後には、すべてのことに攻撃的になり、飼っていた犬に当たって発狂と暴力の嵐になったり、激しく泣き続けたりという状態になってしまいました。
ママに対しては、起きている間には常に抱っこをせがむようになり、ちょっと待ってなどの言葉は通用せず、海老反りになって激しく泣き、家事はもちろん、食事やトイレも許してもらえなかったといいます。
あるママも夜泣きで激しく泣き、虐待を疑われるのではと不安になるほどで、さすがにその声に気づいて起きてきたパパと夜通しで交代して抱っこしてあやして乗り越えたそうです。

突発性発疹の「不機嫌」は、とにかく暴君になる不機嫌で世の中の保護者を困らせる要因になります。
病気で不機嫌になる子どもの対応は本当に大変で、子どもが治る頃には保護者の方はぐったり疲れ果ててしまったという経験は、子どもを育てている方には誰にでもある経験かと思います。
その不機嫌がさらにグレードアップした突発性発疹の不機嫌病とは想像しただけで恐ろしいのですが、あらかじめ対策がわかればそれに越したことはありませんよね。

その不機嫌病はいつまで続き、対策はあるのでしょうか。

不機嫌病はいつまでつづく?

不機嫌病への対応には親も手を焼いて疲弊してしまいそうです。
しかしその不機嫌病にも終わりがあります。

どうやら発疹が出現してから3〜4日経ち、消えてなくなる頃にはまるで憑き物が落ちたかのようにスッと不機嫌が消えるといいます。

発疹が消える数日間だけはなんとか我慢してこの不機嫌を堪える必要がありそうです。

不機嫌の対策は?

不機嫌病の対策にはどんなものがあるのでしょうか?

いろんなご家族のお話からは不機嫌にはイライラを最小限に抑えるように、ひたすらに子どもの要望に答えるしかなかったという声が多く聞かれました。

  • 抱っこをせがまれれば抱っこをする。
  • おもちゃを与えて声をかける。
  • 家事は後回しでとにかく求められるまま構ってあげる。
  • 体調がよければ少しだけお散歩に行って外の空気を吸わせてあげる。(解熱後)
  • ドライブに連れていき気分転換をする。(解熱後)

などが挙げられています。
挙げられている対処法を見ても、子どもが安心できるような関わりや、病気の不快感を紛らわせるような関わりが多いようですね。
解熱後までは感染の可能性もあるため、外に連れ出す場合は解熱後が望ましいです。

不機嫌にならなかったけど大丈夫?

突発性発疹の診断を受けて、高熱になって発疹も出たけど、噂に聞いていた不機嫌にはならなかったけどそれはそれでだいじょうぶなのかしら?と心配になる方はどうでしょうか。

突発性発疹であってもひとつの病気であって、病気の反応や程度はもともと個人差の大きいものです。
同じウイルスに感染してもたいした症状が出ない人もいれば、とても強い反応が出てしまう人もいます。
それは、人それぞれ遺伝情報が違い、個々の免疫システムにも差があるからです。
そのため、もし不機嫌にならなかったとしても心配はありません。
不機嫌の出現の有無自体の差が病気につながっていることはないので不機嫌にならなくて大変な思いをすることがなくてよかったと思います。

突発性発疹になったら保育園はいつから行ける?

突発性発疹にかかったあと症状がよくなり、保育園に登園できるようになるにはいつからになるのでしょうか。
保育園に登園できるのは熱が下がって、機嫌がよくなり、全身状態も良くなったらというのが約束になります。
全身状態が良いとは、夜眠り、ご飯を食べ、機嫌良く過ごせるなどを示します。
突発性発疹は熱があるうちは感染リスクがありますし、熱が下がっても不機嫌が続くことがあります。
熱があり、他の子に感染させる危険があるうちは登園出来ませんし、不機嫌が続いているうちは全身状態が良いとは言えません。
子どもは外の世界で毎日いろんな刺激を受けていますので、無理をして登園をさせてしまうと体調不良がぶり返してしまう可能性もありますので、保護者の方から見ていつも通りの元気な状態になるまではなるべく家で様子をみましょう。

保育園はいつから登園できる?

保育園や幼稚園で感染症にかかった場合の登園基準の方針は必ず設けられています。
熱が下がり機嫌がよくなり全身状態がよくなること、などの表記に加え、その診断に医師の確認が必要であったり、登園許可証の提出が必要だったりすることもあります。
その基準も登園している園によって違うので、お子さんの通っている園ではどのようになっているのかしっかり確認しておくのが良いです。
入園の際に冊子やプリントなどで配布されて渡されることがほとんどですので、必ず登園基準の記述には目をとおしておきましょう。

登園許可証のもらい方

登園を再開しようと思った時に、突発性発疹が治ったことを証明するために、登園許可証を提出してください、と言われたらどうしたら良いでしょうか。
登園許可証とは、学校保健安全法第19条に定められた決まりにより、登園の際に提出が義務づけられている書類です。

登園許可証が必要になった場合には、登園している園の書式が提示されている場合や、市区町村からの指定の場合もあるので、その指定の用紙を用います。
指定の用紙を受診の際に持参して、子どもと共に受診して診察をうけ、医師に診断してもらい、記載してもらいます。
医師が記入してくれたその用紙を持って登園します。

感染症にかかると医師が感染の恐れがないと認めるまで登園できないことになっており、感染症の診断がついた場合は保育園に連絡し、登園する時には登園許可証を提出することになっています。
突発性発疹のガイドラインには登園許可証は必ずしも必要はないのですが、通っている園によっては登園許可証の提示を求められる場合がありますので注意が必要です。

まとめ

突発性発疹は、高熱が3日ほど続いた後、解熱し始めた頃に発疹が出る病気です。
発疹の出始めには強い「不機嫌」が出現することもあり、発疹がひいてくる頃まで続きます。
その対応は大変ですが、子どもの病気の不快感を紛らわす対応が必要になります。
家族で協力しあって乗り越えることが大切です。
また、突発性発疹は、高熱になるため、熱性けいれんを起こす可能性があります。
けいれんを起こすと近くにいる人も慌ててパニックになりがちなので、対処法は頭にいれておくと余裕を持って対応することができます。 熱性けいれんが起きたら、体を横に向かせて嘔吐物で誤嚥しないようにし、発作が左右対称かを見て時間を計ります。
けいれんが5分以上続く場合救急車を呼ぶ必要性があります。

突発性発疹の合併症には、熱性けいれんの他に、脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病などの重い病気に進行してしまうこともあるので、発熱が4.5日以上続いたり、けいれんを繰り返したり、ぐったりして「いつもと違う」お子さまの状態だと思った場合には、必ず病院を受診しましょう。

熱が下がり、機嫌が良くなり、活気も戻って元気になったら登園出来ます。
登園許可証が必要かどうかを通園している園にあらかじめ確認しておき、必要な場合は医師の診断を受け、専用の用紙に記載してもらい、持参して登園しましょう。

また、小児科受診の際には注意したい事があります。
最近では新型コロナの発熱も懸念せねばならないので、そのためにクリニックや病院によって受診のルールも変わっています。
まずは慌てずに、かかりつけや受診したい病院に電話をし、現在の症状を伝えて、診察出来るかを確認することが先決です。
病院によっては、突然行っても発熱があると一旦電話予約をしてから来てもらうルールになっていると言われて帰されるといったケースもありますので必ずホームページを見たり、電話をして確認してから受診しましょう。

子どもの病状について、受診したほうが良いのか、経過をみていて良いのか、はたまた救急車を呼んだほうがいいのか対応に悩む時は、ひとりで悩まずに外部へ相談するようにしましょう。
「こども医療でんわ相談#8000」では専門家が症状を聞いて望ましい対応方法を教えてくれます。
上手に利用して適切な治療を受けられるようにするとともに、心理的な看病の負担を減らすようにしていきましょう。

子どもの看病には体力を要しますが、突発性発疹の高熱には熱性けいれんや脳症というこわい症状につながるおそれがあります。
次に起こることが予測出来ていれば、慌てることなく対処できると思いますのでお役立ていただけたら幸いです。
子どもが回復したら、看病で疲弊した保護者の方の体も是非労ってあげてください。

参考文献

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