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溶連菌感染症とは?原因・症状・治療方法について解説|【医師監修】救急病院一覧あり

[2022.05.16]

目次

 

溶連菌感染症による咽頭炎は咳や鼻水は出ないのに、強い喉の痛みが出るのが特徴です。
発熱や皮膚症状も伴うものは猩紅熱(しょうこうねつ)とよばれます。
溶連菌感染症は、子どもだけではなく大人が感染することもあり、治療が遅くなったり、服薬治療を中途半端に終えてしまうと重篤な合併症を起こす可能性のある病気です。
合併症を起こして重篤化するのを避けるには、早期発見して治療を始めることが重要です。
そんな怖い一面もある溶連菌感染症はどんな病気なのか、どんな合併症があるのか、感染してしまった場合の症状、治療、服薬のポイント、看護、予防法などをひとつひとつ説明していきます。

溶連菌感染症とは?

溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」の略で、溶連菌感染症は正式には「溶血性連鎖球菌感染症」といいます。
溶連菌感染症の原因となる病原体の連鎖球菌は、グラム陽性球菌で細胞壁の特徴によりA~V群(I.J は除く)に分類されています。
連鎖球菌は、このうちのA群に属しヒツジ赤血球加血液寒天培地上でβ溶血をおこすので、A群β溶血性連鎖球菌といいます。
A~V群の中でも、他にも感染症を起こす群はありますが、A群溶連菌による感染症が一般的には多く、そのA群溶連菌による感染症を「溶連菌感染症」と呼んでいます。

A群溶血性連鎖球菌のほとんどは細胞表層に蛋白抗原としてM 蛋白とT 蛋白を有しており、これらの抗原性により、溶血毒素、発熱毒素(発赤毒素)、核酸分解酵素、ストレプトキナーゼなど、種々の活性蛋白物質を産生して細胞外に分泌し、いろいろな臨床症状を引き起こします。

A群溶連菌感染の日常よくみられる疾患として、強い喉の痛みが出現する急性咽頭炎の他、うみを伴う湿疹である膿痂疹、皮膚の毛穴から感染を起こしてその周囲の皮膚が腫れる蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として皮膚症状や発熱などを伴う猩紅熱があります。

これら以外にも菌が侵入し感染する部位や組織によって中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こすことが知られています。
また、菌の直接の作用でなく、菌の感染が発端となり、免疫学的にリウマチ熱や急性糸球体腎炎の合併症を起こすことが知られています。

溶連菌感染症の一般的な症状の他に、発症の仕組みや病気の成り立ちは不明ですが、軟部組織が壊死を伴い、敗血症性ショックを起こす劇症型溶血性連鎖球菌感染症(連鎖球菌性毒素性ショック症候群)があり、重篤な病態として問題となっています。

上記のA群溶連菌感染が発端となって起こる多岐にわたる症状や合併症は、別項にて取り上げていきます。1)2)3)4)

好発年齢と発症時期は?

A群溶連菌には様々な症状がありますが、その中でもポピュラーな咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得ます。
特に、学童期である5歳から12歳くらいまでの小児の発生頻度が一番多く、3歳以下や成人では典型的な症状で経過する症例は少ないようです。

感染症発生動向調査のデータによると、冬と春から初夏にかけての感染が報告数のピークであることが報告されています。
近年になり、感染の全体の報告数が増加する傾向にありますが、その理由として、溶連菌の迅速診断キットの普及などで診断技術が向上し、感染者を正確に把握できる状況になったことによる関係がある可能性があります。

溶連菌感染症は通常、患者との接触を介して感染が伝わっていくため、人と人との接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団では感染の機会も多くなります。

溶連菌感染が感染する時期は、溶連菌に感染した急性期にもっとも感染力が強く、その後は徐々に感染力が弱まっていきます。
急性期の感染率は、兄弟間での感染が最も高率と報告されています。

学校での咽頭培養を用いた研究によると、菌は持っているけれど発症していない健康保菌者が15 〜30%いると報告されていますが、健康保菌者からの感染はまれと考えられています。
この感染症発生動向調査データから、症状が出現した人からの感染にもっとも注意が必要であることがわかります。1)2)3)4)

症状は?

溶連菌感染咽頭炎

溶連菌感染でポピュラーな溶連菌感染咽頭炎の症状は、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐がみられます。 喉は腫れて、扁桃部は炎症により傷を治すために出てくる液である浸出液が見られます。 喉の奥にの小さな点状の出血や、舌が真っ赤に染まり、下の上にプツプツとした発疹のおできる、苺舌(いちごじた)がみられることがあります。 溶連菌感染による潜伏期は2~5日ですが、潜伏期には他者への感染がおこるかについては不明です。1)2)3)4)

猩紅熱

溶連菌感染で発熱と舌や体幹に起きる皮膚症状を伴うものを猩紅熱と呼びます。
また、以前は隔離が必要であった猩紅熱ですが、現在は抗生物質で治るようにな1)2)3)4)り、あえて猩紅熱と呼ばず、溶連菌感染症と呼ぶ様になっている経緯もあるようです。

その猩紅熱の症状は、発熱が始まってから12~24時間すると、点状に紅斑様や日焼け様の皮疹が出現します。
針の先の様に細かい皮疹である針頭大の皮疹により、 皮膚に紙ヤスリ様の手触りを与えることがあります。
特に、わきの下や足の付け根のソケイ部など、皮膚のしわの部分に多く出現するので、この部分に沿って線が入っているように見えることもあります。

顔には通常このような皮疹の症状は見られませんが、ひたいと頬が赤くなり、口の周りだけは赤みがなく蒼白にみえるという顔の皮膚色の変化が特徴的です。

また、口の中の舌の変化もみられます。
溶連菌感染に発症した早い段階では舌の表面に白い膜が張ったようにみられる白苔(はくたい)に覆われた様子がみられ、その後白苔がはがれてなくなり、今度は苺舌(いちごじた)と呼ばれる、真っ赤な舌の色に変化します。
発熱からはじまった症状の1週目の終わり頃から、顔より皮膚の膜が落ちる様な膜様落屑(まくようらくせつ)という皮がむける症状が始まり、3週目までに皮膚症状は全身に広がります。1)2)3)4)

新型コロナウイルス感染症との違い

新型コロナ感染症は、COVID-19というウィルスによる感染症に対し、溶連菌感染症は溶連菌感染による感染症です。
そのため、細菌である溶連菌は抗菌薬による治療が可能であるのに対し、新型コロナウィルス感染症には抗ウィルス薬が存在しません。
また新型コロナウィルス感染症は口から気管支までの上気道や肺に炎症を引き起こしますが膿瘍といった膿を作ることはありません。
咽頭痛が強く食べ物を呑み込めないことは、両方の病気ともにありえますが、溶連菌感染により喉に膿瘍ができ口を開けられないといった症状は、のどに膿瘍ができていないと説明がつかないため、これは2つの病気の大きな症状の違いと言えます。
喉の痛みだけでは判別がつかない時には、総合して他の症状も観察してみてください。

合併症は?

溶連菌感染症になり、その病気が発端となって2次的な症状を起こす合併症としては、リウマチ熱、急性糸球体腎炎、肺炎、髄膜炎、敗血症、まれに劇症型溶連菌感染症などを発症することがあります。
特に、リウマチ熱、急性糸球体腎炎、髄膜炎、敗血症、劇症型溶連菌感染症について以下に説明していきます。

リウマチ熱とは?

リウマチ熱とは、A群溶血性連鎖球菌に感染した後に続発する炎症性の合併症のひとつです。
リウマチ熱は、A群溶血性連鎖球菌に感染して治療が不十分な場合の一部の人に、感染して数週間後に症状が出現します。

A群溶血性連鎖球菌に感染すると、病原体を体からやっつけて排除しようとするために体内で抗体が作られます。
この抗体は、A群溶血性連鎖球菌を攻撃しますが、ときに心臓や関節、皮膚、神経などにも同様に攻撃をしてしまうことがあり、その結果として、関節痛、発熱、胸痛や動悸、けいれんのような不随意運動、発疹、皮膚の下に小さなこぶができる小結節、などの症状が組み合わさって出現します。
A群溶血性連鎖球菌に感染しても、リウマチ熱を発症する人としない人がいることから、遺伝的な要素が関与しているとも考えられています。

リウマチ熱にかかった方の大半は回復しますが、心臓に回復が不可能な機能的な損傷を受ける場合も低い割合で存在します。

リウマチ熱はどの年齢でもかかる可能性がありますが、5~15歳の間で最もよくみられます。
米国では、3歳未満の小児と21歳以上の成人にはリウマチ熱はほとんどみられず、発展途上国に比べるとリウマチ熱の発生率自体がかなり低くなっています。
これはおそらく、溶連菌感染症に対して早い段階で抗菌薬を使用することが一般的になっているためです。

米国では、溶連菌感染症で咽頭炎にかかっているのに治療を受けなかった小児でも、リウマチ熱を発症する確率は1~3%未満に過ぎませんでした。
しかし、過去にリウマチ熱にかかったことがある小児が、ふたたび溶連菌感染で咽頭炎にかかって無治療の場合には、約半数がリウマチ熱を再度発症しています。

リウマチ熱は連鎖球菌感染症咽頭炎に続いて発生しますが、皮膚の連鎖球菌感染症による膿痂疹や、体の他の部位への感染の後では起こりません。
しかしこの原因は不明です。1)2)3)4)

急性糸球体腎炎とは?

急性糸球体腎炎も、A群溶血性連鎖球菌に感染した後に続発する炎症性の合併症のひとつです。
細菌による扁桃や皮膚の炎症などがきっかけで急性糸球体腎炎を発症し、糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。

急性糸球体腎炎は、急性腎炎のことで、ほとんどの場合は完全に治ります。
この病気は、タンパク尿、血尿、むくみ、高血圧が出現し、急性期が過ぎると一般的によくなるのも早い点が特徴です。

一般に急性期を過ぎると、むくみが軽くなってくるのとともに血圧が正常値に戻り、1~3か月後にはタンパク尿や血尿もなくなります。
しかし、4~5か月後に腎生検という腎臓の組織の検査を行うと、まだ回復しきれていないことが多く、約6か月は医師の診療を受け、十分に経過を観察する必要があります。

安静や保温のほか、水、塩分、タンパク質の食事制限が行われます。
急性期には溶連菌感染症に対する抗生物質の服用と、高血圧に対しての降圧薬や利尿薬による治療が行われることもあります。
治療は、発病初期の数日から数週間に限られます。
検尿検査での異常所見や身体的な症状がなくなったら普通の生活に戻り、薬を服用する必要もなくなります。1)2)3)4)

髄膜炎とは?

溶連菌感染症と関係する髄膜炎は、B群連鎖球菌に感染したあとに続発する髄膜の炎症が引き起こす細菌性髄膜炎です。
細菌性髄膜炎は症状が急速に悪化することが多く、救急疾患のひとつにあげられるため注意が必要です。

頭蓋骨と脳の間には髄膜という膜があり、脳を包み込んで保護する役割を持っていますが、この髄膜に細菌やウイルス、結核菌、真菌などが感染し、炎症を起こした状態を髄膜炎といいます。
別の臓器器官での感染をもともとの原因として、血液を介して身体に広がっていきます。
時には、リウマチや膠原病などの自己免疫疾患や、がんが原因で起こることもあります。
種類は大きく分けて2つありますが、細菌感染によるものを「細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)」といい、それ以外の要因のものを「無菌性髄膜炎」と呼んでいます。
細菌性髄膜炎は無菌性髄膜炎に比べると死亡率が高くなり、完治した場合でも後遺症が残りやすいといわれるのが怖いところで、特に小さなお子さんには注意が必要な病気です。

髄膜炎の症状は、症状が出現し始める時の様子が風邪と似ているため、見極めが難しいところがあります。
頭痛、発熱、おう吐、首の硬直などが特徴的な症状で、炎症が脳まで到達してしまうと意識障害やけいれんが起こります。
また、炎症が起こっている脳の部位によっては、言葉が出にくくなったり、空間を認識する能力に障害が出てしまうといった症状が見られることもあります。1)2)3)4)

敗血症とは?

敗血症とは、感染症がきっかけとなって起きる二次的な症状のことをさします。
原因となる細菌として代表的なものに、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌などが挙げられます。

体内で何らかの感染症を起こしている細菌などが身体で増えて、その炎症が全身に広がり、その結果、重大な臓器の障害が起きて身体の状態が重症になってしまいます。
敗血症は、引き起こしたもとになる原因を見つけ出し、その原因となる病気の治療を早く開始しなければ、命に関わる危険もある重い症状です。

どんな感染症でも敗血症を起こす引き金になる可能性があります。
特に、免疫力がまだ十分についていない乳幼児や、基礎疾患がある糖尿病などの慢性疾患やがんなどの人や、病気治療中で免疫力が低下している人、高齢者は、感染症から敗血症を起こすリスクが高い傾向にあります。

敗血症では感染症によって障害が起きている臓器によって、さまざまな症状が起きます。
敗血症の初期の主な症状としては、悪寒や全身のふるえ、高熱、発汗などが見られることが多く、症状が進行すると、心拍数や呼吸数の増加、血圧低下、排尿が困難になる、意識障害などが生じてきます。
重症化してしまうと、腎機能不全や肝不全といった臓器が働かなくなる状態を指す、臓器不全や臓器が必要としている栄養や酸素が届かない状態となる敗血性ショックを招き、命を落とす危険が高まります。
また、皮下出血が見られる場合は、播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)を一緒に起こした可能性があり、とても重症な状態です。

敗血症は、発見が遅れるほど死亡リスクが高くなり、生命をとりとめた場合でも後遺症が残ることが多くあります。
後遺症があるのかないのかは、治療のあと、数週間を経てわかることもあるため、注意が必要となります。
後遺症が出た場合は、それぞれの症状に合わせてリハビリテーションを行うことになります。
敗血症出現の予防のためには、乳幼児、慢性疾患、がんなどの病気治療で免疫機能が低い人や高齢者は、敗血症につながる感染症をまず起こさないことが重要となります。

感染症にかからないためには、手洗いやうがいをこまめにして感染防御を普段から心がけたり、風邪をひかないようにしたり、必要であれば種々の感染症予防のワクチン接種を受けたりすることが大切です。1)2)3)4)

劇症型溶連菌感染症とは?

劇症型溶血性連鎖球菌感染症を発症する患者では、免疫不全などの重い基礎疾患をほとんど持っていないにもかかわらず、突然発病する例があります。
初期症状としては、手足の痛み、腫れ、 発熱、血圧低下などからはじまります。
発病してからの病状の進行が、非常に急激かつ劇的なのが特徴です。

発病後数十時間以内には、軟部組織が壊死し、急性腎不全となり、成人型呼吸窮迫症候群 、播種性血管内凝固症候群、多臓器不全を引き起こし、ショック状態から死に至ることも多い病気です。
近年、妊産婦でも感染後この症例に至ったケースも報告されています。

研究の報告によれば、この病気の最も一般的な初期症状は、手足である四肢の痛みであり、急激に始まり、とても強く重い症状となり、続いて圧痛あるいは全身症状が見られます。
四肢の痛みの開始前に、発熱、悪寒、筋肉痛、下痢のようなインフルエンザ様の症状が本症発症の20%の患者にみられました。
全身症状としては、発熱が最も一般的ですが、患者の10%はショックによる低体温になりました。
錯乱状態を起こす患者が55%にみられ、昏睡や好戦的な姿勢がみられることもあります。

局所的な腫れや圧痛、痛み、紅斑のような軟部組織感染の徴候は、皮膚の進入口が存在する場合によくみられ、発熱や中毒症状を示す患者で紫色の水疱がみられると、壊死性筋膜炎や筋炎のような深部の軟部組織感染を起こしている可能性があります。
上記のような重篤な症状が見られ、発症すると予後は悪い病気となります。1)2)3)4)

治療は?

溶連菌感染症には抗生剤がとてもよく効くので、抗生物質内服で治療をします。
薬を飲み始めたら、24時間のうちにはすっかり熱も下がり、喉の痛みも楽になります。
しかし処方された分の薬を全て飲みきることがとても大切です。

ペニシリン系薬剤が第1選択薬になりますが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となります。
また第1世代のセフェム系も使用可能とされています。
いずれの薬を内服する場合でも、少なくとも10日間は確実に服用することが大切です。

もし途中で薬を飲むことをやめてしまったりして中途半端にしか薬を飲まないと、溶連菌感染症の原因菌が完全に除去されないために、原因菌がもう一度騒ぎ出して炎症を起こし、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの2次的合併症を起こす可能性があります。

発熱などの症状はすぐ良くなりますが、そこで内服をやめることはせずに、ペニシリン系の抗生剤を必ず最後までしっかり10日分飲みきりましょう。1)2)3)4)7)

抗生物質使用による副作用とは?

感染症の治療薬として抗生物質と抗菌薬という言葉があり、抗生物質とは、病原微生物を殺す作用をもつ薬の中でも「微生物が作った化学物質」を指します。

抗生物質いわゆる抗生剤の処方は、身体のどこにおきた感染症で、どの菌によるものかなどから最適な抗生剤を判断して医師が処方します。
症状がよくなったからといって途中でやめてしまうと、感染症がきちんと治らない恐れがあります。

しかし、抗生剤は他の薬と同様に副作用が出る場合があります。
特に多くみられる副作用は下痢や便秘などです。
これは病原体だけではなく、腸内の環境を保っている細菌も抗菌薬が攻撃してしまうためです。
もし、副作用が強くでたり、他の気になる症状や飲み続けることを不安に思うことがあれば、無理せず医師や薬剤師に相談しましょう。 人により薬の内容が合わない場合もあり、その場合は他の薬を処方することも可能なので無理はしないようにしましょう。1)2)3)4)7)

感染とは?

溶連菌感染症を引き起こす感染のメカニズムや飛沫感染の原因は一体どんなものでしょうか。
また、溶連菌感染症の感染症法での分類や、感染した場合の隔離期間や、学校や職場への報告などの取り決めはどのようになっているのか説明していきます。

ウイルスや細菌などの病原体が人や動物などの宿主の体内に侵入し、発育又は増殖することを 「感染」といいます。
その結果、何らかの臨床症状が現れた状態を「感染症」といいます。

病原体が体内に侵入してから症状が現れるまでにある一定の期間があり、これを「潜伏期間」 といいます。
潜伏期間は病原体の種類によって異なります。

また、感染症が発生するためには、病気を持っている人が病原体を排出する「感染源」とその病原体が他の人に伝わって広まるための「感染経路」と、病原体が伝わったあと、その感染を受けた人に予防するための免疫が弱く感染する「感受性が存在する宿主」が存在することが必要です。
「感染源」「感染経路」及び「感受性が存在する宿主」の3つを感染症成立のための三大要因といいます。
感染症成立のための三大要因と主な感染症の潜伏期間や症状、予防方法について知っておくことが重要です。1)2)3)4)6)

飛沫感染とは?

溶連菌感染症の感染経路は、飛沫感染になります。
溶連菌感染症の感染予防としては、感染者との濃厚接触をさけることが最も重要で、うがい、手洗いなどの一般的な予防法も励行することが大切です。

飛沫感染とは、感染している人が、会話をしている時に咳やくしゃみをすると、病原体が含まれた小さな水滴が口から飛びますが、これを飛沫といい、近くにいる人がこの飛沫を吸い込むことで感染します。
飛沫が飛び散る範囲は1~2メートルです。

例えば、保育所や幼稚園などでは、特に子ども同士や職員との距離が日頃から近くにあります。
親しく会話を交わしたり、 集団で遊んだり、歌を歌ったりするなどの環境にあるためです。
また、子どもたちは予防するための免疫が弱く、感染した場合に発症しやすい状態にあります。

このため飛沫感染を主な感染経路とする溶連菌感染症などの流行が、乳幼児の集団生活施設である保育所などを中心に多く見られます。

飛沫感染は、多くの場合、飛沫を浴びないようにすることで防ぐことができます。
感染者から2m以上離れることや、感染者がマスクを着用するなどの咳エチケットを確実に実施することが、保育所での溶連菌感染症の集団発生の予防に有効となります。1)2)3)4)6)

感染症法による取り扱い

溶連菌感染症は、感染症法においては、第3種の「その他の感染症」に分類されます。
「溶連菌感染症に感染後、適正な抗菌剤(抗生物質)治療開始後24時間を経て、全身状態がよければ登校可能」とされています。

学校の場合は?

学校保健安全法における「学校」とは、学校教育法第一条にある「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」を指しています。

「その他の感染症」の場合は「登校の目安」に従い、学校を休む必要があります。
また、学校で重大な流行が起こった場合は学校長の判断で出席停止となります。
通っている「学校」の登校の目安や方針を確認しておきましょう。
また、保育所はこの「学校」に含まれていないため、保育所の方針もその施設ごとに確認しましょう。

会社員の場合は?

会社員の場合には、溶連菌感染症にかかった場合には、職場内での感染を防ぐために「学校保健安全法」をひとつの基準として対応することが大切ですが、 全く同じにする必要はありません。
何日休む必要があるか、休んだらその扱いはどうなるのか、に関して職場の就業規則を優先する必要があります。

一方、職場内で就業規則に取り決めがない場合には、職場の嘱託医や受診した医師の指示のもとに職場の管理者が判断し、その独自の指示に従うことになります。

なお、飲食店で働く調理従事者では、ノロウイルスに感染した場合などは、休まなければなりません。
病院機関などで再度検査を受けて、陰性が確認できるまでは調理業務に就くことができないなど、一般とは異なる取り決めがありますので注意が必要です。

学校の教職員の場合は?

学校の教職員の場合には「就業規則」に従うことになります。

高齢者の介護施設の場合は?

高齢者介護施設には、抵抗力の低下した状態の人が多いため、厚生労働省は施設に対して「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」で指導をしています。

しかし介護職員等が感染症にかかった場合には、何日休む必要があるか、休んだらその扱いはどうなるのか、などに関しては施設の就業規則に従うことになります。

飲食店、給食センター、学校や病院内の給食施設の場合は?

飲食店、給食センター、学校や病院内の給食施設のこれらの施設では、食中毒が問題になりますので、出勤してはいけません。
国は「責任者に対し“直に調理、加工、製造する者(食品取扱者)”に嘔吐や下痢などの症状があれば、感染性胃腸炎がないか確認をすること。ノロウイスが原因であった場合は、 リアルタイムPCR等の好感度の検便検査でノロウイルスを保有していないことが確認されるまで、食品の取り扱いに従事させないよう処置をとることが望ましい」と指導しています。
調理従事者は特に、嘔吐や下痢等の症状が出たら、すぐに管理者に相談することが感染を広げないために大切で注意していく必要があります。1)2)3)4)6)

乳幼児にとっての感染症とは?

乳幼児期の感染症の場合は、感染の宿主である乳幼児の年齢等の要因が病態に大きな影響を与えます。

子どもの命と健康を守る保育所や幼稚園などにおいては、一人一人の子どもの特性に即した適切な対応がなされるよう、保育士等が嘱託医や医療機関、行政の協力を得て、保育所における感染症対策を推進するよう義務づけられています。

家庭でもお子さんに何かしらの症状がある場合には、他のお子さんに感染を広げない様、早めに受診し、感染症にかかっている場合には自宅療養することが大切です。

子どもは、成長発達の途中にあり、言葉の発達と表現するちからが未熟なため、自分で症状や辛いことをその症状に合った言葉で訴えることができません。
また、伝えてきたとしても明らかではないため、伝わりにくい場合があります。

そのため、子どもの現在おかれている身体の症状が重いか軽いかを判断するには、子どもの言ったことだけを頼りにすると情報が不足してしまったり、重要な情報を逃してしまうことがあります。
お子さんを見たようすや呼吸のようす、おしっこの量や脈拍、皮膚の色を観察しておくことが大切なポイントになります。
お子さんを観察する上での保護者の方の「なんだかいつもと違う」という感覚もとても大切です。

遊ばない・・・今まで興味があったものに興味を示さない。
飲めない・・・食べることができない、食べさせようとすると嫌がる。
ぐずって眠らない・・・または眠り続ける。
といった「3つのできない」状況があった場合、それらを子どもの示す異常サインとしてとらえることがとても大切です。

お子さんの状態がいつもと違うのは何が違うのか把握しておくことは、受診の際にも医師に話しておくことで診断をする上でも、とても有効な情報になりますので注意して観察しましょう。1)2)3)4)6)

看護とは?

溶連菌感染症でみられる症状として多いものは、発熱、咽頭痛、皮膚症状、嘔気、嘔吐、下痢などになります。
抗生物質を確実に内服することが大切で、内服をすると症状は早く軽快しますが、対症療法として、これらの症状が出現した際には参考にしてみてください。

発熱した場合には?

発熱して熱の上昇に伴って、寒気やふるえが出現した場合には、発熱に対するケアが必要になります。
部屋を温かくしたり、掛け物を足したりして保温します。
熱が上がりきると寒さはなくなります。
熱くなってきたら、今度は身体を冷ますようにします。

お子さんの場合には、身体を冷やすのを嫌がる子もいますので、無理やり冷やす必要はありません。
その場合には着ているものを調整したり、寝具のかけものを減らしたり、室内の空調をコントロールして体温を調整します。

また、子どもも大人も市販で売られている冷却ジェルシートは爽快感は得られますが、解熱効果は期待できませんので注意してください。
お子さんの冷却シートの使用では、シートがずれて口鼻を覆い、窒息する危険性があるため使用する場合には目をはなさないあどの注意が必要です。

発熱時は、発汗したら汗が乾いて身体が冷えないようにしましょう。
入浴やシャワー浴を行う場合には、長い時間になると体力を消費してしまうので、サッと入り、しっかり身体の水分を拭き取り、冷えないようにしましょう。

お子さんの場合には、身体を拭いてあげたり、汗を吸った布団で身体が冷えるのを予防するためにシーツなどの交換が必要です。
お子さんの状態を見ながら、入れる状態のときには入浴やシャワー浴で清潔を保つようにしましょう。5)9)

口の中の症状には食事の工夫をしよう

溶連菌感染症では喉の痛みやいちご舌などの症状が出現することがあります。
少しでも食べられる場合にはその痛みが強くならないよう、痛みへの負担を減らすことができます。

のどに痛みがあるときは、オレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、のどごしの良い少し冷たい飲みものがおすすめです。
例)麦茶や牛乳、冷めたスープ、ポカリなど。

食べものは、刺激が少なくかまずに飲み込める食べ物にしましょう。
例)ゼリーやプリン、アイス、冷めたおじや、豆腐など。

飲み込むのが辛いときは、電解質や糖分を含むポカリなどのスポーツドリンクやOS-1などの経口補液系の飲み物を補給し、脱水や低血糖を予防できる飲み物を飲むようにしましょう。5)9)

皮膚症状がある時は?

溶連菌感染症では顔や体幹に皮膚症状が出現し、かゆみを伴う場合があります。
そのかゆみを軽減するためにスキンケアをすると良い効果が得られます。
スキンケアは、きれいにする「保清」皮膚の湿度を保つ「保湿」皮膚を守る「保護」の3つが基本です。

「保清」は肌をきれいにすることですが、洗い方にもコツがあります。
皮膚への刺激となるのは、皮脂、汗、古い角質、埃などが混ざった汚れです。
これらは石けんをよく泡立て、こすらないように丁寧に洗い落とすようにしましょう。
アルカリ性の石けんは、洗浄効果は高いのですが、皮脂も取り除きすぎてしまいます。
乾燥が強い場合には、弱酸性の石けんや皮脂をとりすぎないタイプの洗浄剤を選択するとよいです。

「保湿」は皮膚の湿度を保つことですが、洗浄後にバリア機能を回復させる目的があります。
皮膚からの水分の喪失を防ぐためには油分や保湿剤などを補い、しっかり保湿して皮膚のバリア機能を回復させる必要があります。
特に高齢者は、皮膚の保湿機能が低下し、ドライスキンになりやすいです。
保湿剤には尿素軟膏、オリーブオイル、ワセリンなどさまざまな種類があり、用途に合わせて使用しますが、十分な量をこすらずに優しく、まんべんなく塗ることが大切です。
かゆみが辛いときには、かゆみ止めや保湿ローションなどを使います。
溶連菌感染症でのローションや軟膏の使用は医師に相談してから使用するようにしてください。

「保護」は皮膚を刺激から守ることですが、皮膚を傷つけない工夫が役立ちます。
皮膚のかゆみが強くて掻きむしってしまうと、痒みがひどくなったり、皮膚が傷ついて炎症を起こし、またその上に感染を起こしてよりひどくなるという悪循環に陥るためその動作を予防します。
自身の爪を短くして先端を滑らかに整えておきましょう。
体幹では、肌着を着用したり、足ではストッキングやレッグウォーマーなどを着用し、かゆみのある場所を覆うことで皮膚を傷つけないようにします。

かゆみが辛いときには、かゆみ止めや保湿ローションなどを使います。
かゆみの強い部分は、冷たいタオルなどで冷やしても局所の血流を減少させて痒みを軽減する効果が期待でき、かゆみが楽になることも多いです。
ただし、冷やし過ぎると低体温になったり、冷やすのをやめた後に血流が改善して、灼熱感や余計にかゆみを誘発することがあるので注意が必要です。

熱が下がって、ふらつきなどがなく元気であれば、入浴は可能です。
発疹は熱いお湯に入るとかゆみが増してしまうので、ぬるめのお湯に入り、身体を温めすぎないようにしましょう。
入浴時には、皮膚への刺激が強いナイロン製タオルの使用を避けましょう。

他には、加湿器などで室内の湿度をコントロールして乾燥を防ぎます。
衣類の工夫としては、チクチクする素材や化繊のもの、ゴムがきついものなどは、皮膚への刺激となるため避けるとともに、ゆったりした木綿を選び着用すると良いです。
下着などの縫い目が刺激になるときは、裏返して着用すると刺激が緩和されて良いです。5)9)

吐き気や嘔吐がある時は?

吐き気がある時は、静かな環境の下で楽な姿勢を取り安静にしましょう。
また、いつ吐いてもいいように紙袋にビニール袋等を入れるなどしてすぐに手に届くところに準備しておくと良いです。

大量に吐いてしまう場合には、消化液などとともに水分や電解質が失われて脱水や電解質異常に陥ることがあります。
皮膚の乾燥や口の渇き、トイレの回数や尿量や色などは正常かというところをチェックしましょう。

吐き気がある時には、無理に食事をとらないようにしますが、脱水に注意が必要なので、飲めるものを少しずつ口に含んで飲むようにしましょう。
あまりに何も口にできない時は、症状が強く出ていますので受診して医師に相談しましょう。5)9)

下痢がある時は?

消化管の感染症の場合、下痢は微生物を身体の外に排出するための防御反応なので、無理に下痢を止めることはかえって回復を遅らせてしまう原因になります。
ゆっくり休めるよう環境を整えて安静を図り、食事を控えて消化管を休ませ、腹部を冷やさないように保温することが大切です。
食事を摂る場合は消化がよく、消化管への負担の少ないものを摂取するようにしましょう。

お腹の痛みがある時は、痛みの場所や強さ、頻度を観察しましょう。
下痢は水様か泥状かなどの便の性状や1日の下痢の回数を観察しておきましょう。
お腹の痛みは我慢できないほどの強い痛みは注意が必要ですし、下痢も回数が増えてくると注意が必要です。

下痢が続くと脱水を起こす危険性があるため、水と電解質の補給が欠かせません。
特に、乳幼児や高齢者には注意が必要です。
口から水分を取ることが難しい時は、点滴で補液する必要があるので受診しましょう。

また、頻回の下痢は、陰部の皮膚に対する刺激となって、皮膚の炎症を起こします。
子どもでは、温湯で洗ったり、大人ではシャワー浴を行うなどして陰部の清潔を保つことも忘れないようにしましょう。 5)9)

受診のタイミング

自宅で看病していたけど、なかなか回復しない、または気になる症状がある場合には、どんな時に受診を考えたらよいのでしょうか。

溶連菌感染症では一般的には、抗生物質の内服を開始すると、早い段階で解熱がはじまり、症状も良くなっていきます。 内服をきちんと飲みきることができれば、その後のリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの2次的合併症を起こすリスクは低いと考えられています。

しかし、もし、全て薬をのみきる前に薬を飲むことをやめてしまい、ある程度の期間をおいて発熱などの症状が改めて出現した場合には、リウマチ熱や急性糸球体腎炎の症状を起こすることがあり、その場合には受診が必要になります。

溶連菌感染症の合併症の症状に注意して観察し、気になる症状があれば、迷わずに受診しましょう。5)9)

医療相談の専用電話も活用しよう

自宅で療養しているものの、気になる症状がある、だけど、受診するほどだろうか。
また、なかなかお子さまの症状が改善せず、心配だけど受診させるほどなのか。
または受診したいけれども、夜間や休日になってしまったけど、どうしたらいいか。
など悩んでしまったら、相談に乗ってくれる窓口があります。

遠慮せず早めに相談していくことが、合併症の早期発見や、小さなお子さまがいる家庭の保護者の方の負担を減らすとともに重症化を防ぐことにもつながります。
そのため、利用できる医療相談の専用電話も活用していきましょう。

#8000は、子どもの全国共通の電話医療相談窓口です。
全国どこでもこの番号でかけたら対応してくれる、国の子ども医療電話相談事業です。
保護者の方が、休日夜間のこどもの症状にどのように対応したら良いのか、病院を受診した方が良いのかなど判断に迷ったときに、小児科医師・看護師に電話で相談できるものです。

この事業は全国同一の短縮番号#8000をプッシュすることにより、お住いの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。

#7199は、大人の電話医療相談窓口です。
すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」悩んだりためらう時に、医師・看護師等の専門家に電話で相談できるものです。
全国ではありませんが、実施エリアでは#7199をプッシュすることにより、医師・看護師・トレーニングを受けた相談員が電話口で症状などを聞き取り「緊急性のある症状か」や「すぐに病院を受診する必要性があるか」等を判断します。

相談内容から緊急性が高いと判断された場合は、迅速な緊急出動につなぎ、緊急性が高くないと判断された場合は、受診可能な医療機関や受診のタイミングについてアドバイスを行います。

こういったサービスがない地域では、地域の広報などを利用し、医療相談を受け付けている場所を探しておくことが、病気になった時の安心に繋がります。
お住いの市区町村に問い合わせて調べておくのも良いですね。

質問するときにはあらかじめメモ帳に質問したいことを箇条書きに書いておくと緊張せず話せておすすめです。
また、伝えておくと医師や看護師が判断できることがあるので、年齢、性別をまず伝え、今回の症状を時間を追って順番に話していくようにすると効率的です。

お話しをしながら年齢や性別に合わせて疑われる病気やこれから起こり得る症状を予測しながらお話しを聞き、病気の予測をたてていきます。 医師や看護師や担当者が順を追ってお話しを聞いていきますので安心してください。
慌てる気持ちもあるかもしれませんが落ち着いて話すようにしましょう。8)

溶連菌感染症と似た症状を引き起こすアデノウイルスについて

アデノウイルスは子どもに感染しやすいウイルスとされていますが、大人にも影響を及ぼすことがあります。

感染症に関するデータによると、アデノウイルスの感染者の中で、5歳以下の子どもが約60%を構成しています。

急性の気道感染症を持つ乳幼児の中で、アデノウイルスが原因とされるケースはおよそ10%だと指摘されています。この事から、アデノウイルスは特に子どもの中での感染が多いことがわかります。

一年中感染のリスクがある溶連菌感染症は、特に冬から春にかけての期間に多く見られます。一方、咽頭結膜熱(一般的にプール熱とも呼ばれる)も年間を通じての感染が考えられますが、特に夏の時期に流行しやすいです。

関連記事
【医師監修】アデノウイルスの症状とは?大人でも感染する?感染経路や治療方法について解説|

まとめ

溶連菌感染症と一般的にいわれる病原菌の正式名称はA群溶血性連鎖球菌といいます。
溶連菌感染症によって引き起こされる症状で多いものは咽頭炎です。
溶連菌感染症咽頭炎の典型的な症状は喉の痛みと発熱で、風邪との違いは咳や鼻水の症状があまり見られない点にあります。
また、喉の痛みと発熱の他には、頭痛、気持ちが悪い、おう吐、腹痛、下痢といった症状が現れることもあります。
溶連菌の潜伏期間は2~5日です。
医療機関の検査で溶連菌感染症とわかれば、10日間の抗菌薬(抗生物質)が処方され内服による治療を行います。
発生件数自体は少ないですが、溶連菌感染症の合併症として、関節や心臓の弁膜に障害を起こすリウマチ熱や腎臓の機能に障害が起こる急性糸球体腎炎に繋がることもあります。
溶連菌の感染症には、菌そのものが引き起こす症状と、菌への免疫反応による症状があります。
溶連菌感染症咽頭炎は前者で、リウマチ熱や糸球体腎炎は後者になります。
乳幼児や、免疫機能の低下する慢性疾患やがんを患っている方、高齢者などは感染すると重篤な合併症につながるリスクが高いため、軽く考えず、溶連菌感染症について正しい情報を知ることが大切です。

溶連菌の感染経路は飛沫感染になり、特に手指衛生が重要になります。
感染してしまったら、主にペニシリン系の抗菌薬(抗生物質)を用いて治療します。
治療のゴールは、溶連菌感染症による症状を抑えることだけでなく、その後の合併症の発症を防ぐことです。
合併症を防ぐためには、服用を途中で中止せず、指示された期間飲みきることが重要です。
もし、内服の途中で気になる症状や、強い副作用があればすぐに相談しましょう。
薬を変更して治療することもできますし、何より溶連菌をしっかりやっつけてしまうことがとにかく大切なことです。

3歳から学童期に感染する可能性の高い溶連菌感染症ですが、大人でもかかることがあり、重い合併症を起こす危険もあるため、かからない方が良いですよね。
手指衛生や日頃からの身体のメンテナンスに気をつけて生活しましょう。

参考文献

  1. A群溶血性連鎖球菌咽頭炎とは 国立感染症研究所感染症情報センター
  2. A群溶血制連鎖球菌咽頭炎 厚生労働省
  3. 感染症TODAY シオノギ製薬 劇症型溶連菌感染症の疫学と臨床像 聖路加国際病院 内科感染症科部長 古川恵一
  4. MSDマニュアル家庭版
  5. ナース専科
  6. 公益財団法人日本学校保健会 会報「学校保健」311 号別刷本
  7. 全日本民医連 抗生物質の副作用のまとめ
  8. 総務省消防庁
  9. 現場で使える看護知識 看護roo

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