メニュー

【医師監修】アデノウイルスの症状とは?大人でも感染する?感染経路や治療方法について解説|

[2023.08.16]

監修医師
名倉義人 先生
新宿ホームクリニック 理事長

名古屋市立大学医学部卒業後、春日井市民病院で初期臨床研修に従事。東京女子医科大学病院 救急救命センターに4年間勤務し専門医を取得。東戸塚記念病院で勤務したのち、新宿ホームクリニック開院。当院では病気になってから治療を行うのではなく、日ごろからの健康管理によって病気を予防していく “予防医療”に力を入れています。

目次

アデノウイルスは、主に5歳以下の子どもがかかる、感染力の強いウイルスです。
アデノウイルス感染症がどのような病気なのか、あまり知らない人も多いのではないでしょうか?

「プール熱」や「はやり目」と言えば、1度は聞いたことがある人が多いでしょう。
プール熱(咽頭結膜熱)も、はやり目(流行性格結膜炎)も、アデノウイルスが感染することにより引き起こされます。

この記事をご覧になると、アデノウイルスの症状や感染経路・治療について理解できます。
予防方法についても解説しますので、この記事を参考にして、アデノウイルスへの感染を防いでください。

また記事の後半では、アデノウイルスに感染すると重症化しやすい子どもの特徴や、保育園や幼稚園・学校の登園基準についても解説しています。
とくに子どもがいる家庭の保護者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

アデノウイルスとはどのようなウイルスなのか

アデノウイルスは風邪のウイルスの1つで、1953年に発見されました。
「アデノ」は「腺」という意味です。

鼻の1番奥で、咽頭の上部にあるリンパ組織のかたまりを「アデノイド」と言いますが、当時はこのウイルスがアデノイドと深い関係があると考えられ、「アデノウイルス」と名付けられたと言われています。

風邪を引き起こすウイルスの中でも、比較的症状が重くなりやすいのが、アデノウイルスの特徴です。
アデノウイルスに感染すると、数日続く高熱だけではなく、目や呼吸器・消化器・泌尿器にも症状が出る場合があります。

アデノウイルスはA〜Fの6つの群に分類され、51の血清型があります。
この血清型それぞれが異なる性質を持っているゆえに、アデノウイルスは様々な症状を引き起こすのです。

51の血清型のうち、3分の1は病気を引き起こさない型です。
アデノウイルスには多くの型があり、何度も感染する可能性があります。
その上なかなか免疫もつきにくいと言われているため、1度かかったからといって安心できない感染症です。

アデノウイルスは主に子どもがかかりやすいウイルスですが、大人も感染する可能性があります。

感染症発生動向調査では、アデノウイルスにかかる患者の年齢は、5歳以下が全体の6割を占めています。

乳幼児における急性の気道感染症のうち、約1割がアデノウイルスによるものと言われており、アデノウイルスは子どもが感染しやすいウイルスの1つです。

流行時期

アデノウイルスが流行しやすい時期は、春から夏にかけてです。
アデノウイルスの感染者は6月頃から少しずつ増え、7〜8月にピークを迎えます。

アデノウイルスの流行時期はプールに入る時期と重なるため、「プール熱」と呼ばれることもあります。

ただしアデノウイルスは、春から夏にかけてだけではなく、1年を通してどの季節でも感染する可能性があるウイルスで、注意が必要です。
冬になると、風邪の原因ウイルスとして、アデノウイルスが流行する場合があります。

アデノウイルス感染症にかかりやすい年齢層

アデノウイルスは、主に5歳以下の子どもがかかりやすいウイルスです。 子どもの風邪を引き起こす原因の約1割が、アデノウイルスによるものと言われています。

アデノウイルスは子どもの間で流行することが多いですが、大人も感染する可能性があります。 高齢者がアデノウイルスに感染すると重症化し、細菌感染も併発しやすいため、注意が必要です。

アデノウイルスが引き起こす5つの症状と潜伏期間を解説

アデノウイルスには51の血清型があり、その型によって、感染した際に出現する症状が異なります。

ここで、アデノウイルスが引き起こす感染症とその症状・潜伏期間について解説します。
アデノウイルスが引き起こす感染症は、以下の5つです。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • 流行性角結膜炎(はやり目)
  • 呼吸器感染症
  • 胃腸炎
  • 出血性膀胱炎

1つずつ順番に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスの血清型のうち、3型または7型に感染すると、「咽頭結膜熱(プール熱)」を引き起こします。
潜伏期間は5〜7日で、症状が出る2日ほど前から、他の人にウイルスを感染させる可能性があります。

咽頭結膜熱では、4〜5日ほど高熱が続きます。
1日の中で、体温が37〜40度の間で上がったり下がったりを繰り返す「弛張熱」を起こすのが、咽頭結膜熱の特徴です。

また扁桃腺が腫れるので、喉の痛みを伴います。
さらに、耳や首のリンパ腺が腫れることもあります。

そのほか、咽頭結膜熱では以下の症状が見られます。

  • 頭痛
  • 腹痛
  • 下痢
  • 食欲がなくなる
  • 全身がだるくなる(倦怠感)
  • 結膜炎(目が赤く充血する)
  • 目の痛み
  • まぶしい
  • 目やに

流行性角結膜炎(はやり目)

アデノウイルスの血清型のうち、8型・19型・37型に感染すると、「流行性角結膜炎(はやり目)」を引き起こします。
潜伏期間は1週間前後で、眼科の病気の中では、感染から発病までに時間がかかる病気です。

流行性角結膜炎(はやり目)は、感染力が大変強く、病院や職場・家庭内で大流行するケースもあるため、注意が必要です。
厚生労働省における「感染症サーベイランス事業」にて、流行性角結膜炎(はやり目)は、定点報告対象の疾患となっています。

定点報告とは、指定された医療機関が、患者の発生数を厚生労働省に届け出ることを言います。
全国に約700か所ある眼科の定点医療機関から毎週、流行性角結膜炎(はやり目)の患者数が厚生労働省に報告されているのです。

流行性角結膜炎(はやり目)になると、結膜(白目の部分)が真っ赤になり、涙・目やにが出やすくなります。

まぶたも腫れることが多いです。
症状が進行すると、角膜(黒目の部分)にも炎症が起こり、目の痛み・異物感が起こります。

流行性角結膜炎は、発病してから1週間で症状のピークを迎え、その後少しずつ症状が改善することが多いです。
しかし炎症の程度がひどい場合、症状がなくなるまで数ヶ月かかる場合もあります。

また流行性角結膜炎は、角膜(黒目の部分)が混濁することにより、視力障害を起こしやすい感染症であり、注意が必要です。

呼吸器感染症

アデノウイルスの血清型のうち、3型・4型・5型・7型に感染すると、「呼吸器感染症」を引き起こします。 具体的には、鼻炎や咽頭炎・扁桃腺炎など、気道の炎症を起こします。

潜伏期間は1〜10日で、発病する直前から他の人にアデノウイルスを感染させる可能性があり、注意が必要です。

人によって出現する症状は異なりますが、アデノウイルスに感染して呼吸器感染症を起こすと、主に以下の5つの症状が出現します。

  • 発熱
  • 咽頭痛
  • 扁桃腺の痛み
  • 結膜炎

またアデノウイルスが声帯や咽頭に感染し気道の粘膜が腫れると「クループ症候群」を引き起こし、犬が吠える、あるいはオットセイが鳴くような咳が出現する場合があります。

さらにアデノウイルスによる呼吸器感染症が重症化すると、気管支炎や肺炎を起こす可能性があります。
とくにアデノウイルスの血清型のうち「7型」に感染すると、重症の肺炎を起こして命の危険を伴う場合があるため、要注意です。

胃腸炎

アデノウイルスの血清型のうち、31型・40型・41型に感染すると、「胃腸炎」を引き起こします。
胃腸炎を起こすアデノウイルスの血清型は、「腸管アデノウイルス」と呼ばれることもあります。

アデノウイルスによる胃腸炎を起こしやすいのは子どもで、とくに乳幼児の場合は重症化する可能性があり、注意が必要です。 ただしアデノウイルス「31型」「40型」「41型」に感染しても、症状が出現しない人もいます。

潜伏期間は3〜10日です。
アデノウイルスに感染しても無症状の場合、知らないうちに周りの人にウイルスを感染させてしまう可能性があります。

アデノウイルスに感染して胃腸炎を起こすと、主に以下の6つの症状が出現します。

  • 腹痛
  • 下痢
  • 嘔気
  • 嘔吐
  • 気分不良
  • 微熱

アデノウイルスによる胃腸炎の症状は、「ロタウイルス」に感染して胃腸炎を起こした場合と、同じような症状です。
ただし、ロタウイルスやノロウイルスによる感染性胃腸炎と比較すると、アデノウイルスによる感染性胃腸炎は、症状が比較的軽い場合が多いと言われています。

出血性膀胱炎

アデノウイルスの血清型のうち、11型または21型に感染すると、「出血性膀胱炎」を引き起こします。 潜伏期間は、10日前後です。

アデノウイルスに感染して出血性膀胱炎を起こすと、主に以下の4つの症状が出現します。

  • 下腹部痛
  • 真っ赤な血尿
  • 頻尿
  • 排尿時の痛み

上記の症状は、症状が出現してから2〜3日で改善することが多く、血尿は10日ほどで治まります。
またアデノウイルスが腎臓に感染後、症状が出ることがないまま、数ヶ月から数年と長期に渡って、アデノウイルスが尿中に排泄される場合もあります。

アデノウイルスの感染経路

次に、アデノウイルスの感染経路について解説します。 感染経路は、アデノウイルスが引き起こす以下の5つの感染症ごとに異なります。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • 流行性角結膜炎(はやり目)
  • 呼吸器感染症
  • 胃腸炎
  • 出血性膀胱炎

1つずつ順番にお伝えします。

咽頭結膜熱(プール熱)の感染経路

咽頭結膜熱(プール熱)は名前の通り、子どもがプールに入った際にアデノウイルスに感染し、症状が出ることが多いです。

プールに入る夏の時期に、咽頭結膜熱(プール熱)が流行しやすいと言われています。 しかし温水プールが増えたため、夏だけではなく1年を通して、アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こす可能性があり、注意が必要です。

近年は塩素できちんと消毒し使用しているプールが増えたため、プールを介したアデノウイルスへの感染は、少なくなってきています。

咽頭結膜熱(プール熱)の感染経路として、プールを介した感染以外に、以下の2つが挙げられます。

  • 飛沫感染(患者の咳やくしゃみを介して感染する)
  • 接触感染(手指や皮膚を介して感染する)

流行性角結膜炎(はやり目)の感染経路

流行性角結膜炎(はやり目)は、アデノウイルスが付着した手や指で、目をこすることによって感染します。

感染力が非常に強いため、周りにアデノウイルスによる流行性角結膜炎(はやり目)の患者がいる場合は、手洗いやうがいなどの感染予防を徹底してください。

呼吸器感染症の感染経路

アデノウイルスによる呼吸器感染症は、患者の咳やくしゃみによる飛沫が口や目から体の中に入る、あるいは鼻から吸い込むことによって感染します。

また患者の目やにや鼻汁、便に含まれているアデノウイルスを手で触れてしまい、手や指を介して感染する場合もあります。

さらに、患者の咳やくしゃみによる飛沫がタオルやハンカチ、あるいは食器やおもちゃに付着し、それらの物品を介してウイルスが口や目から入り、アデノウイルスに感染する可能性もあります。

胃腸炎の感染経路

アデノウイルスによる胃腸炎は、患者の便に含まれているウイルスが手に触れて、手や指を介して口に入って感染します。

また、アデノウイルスによる呼吸器感染症と同じく、患者の咳やくしゃみで飛び散った飛沫を介して感染する場合もあります。

出血性膀胱炎の感染経路

アデノウイルスによる出血性膀胱炎は、患者の尿に含まれているウイルスが主な感染源です。 患者の中には、数ヶ月から数年に渡って、アデノウイルスが尿の中に排泄される人もいます。

ウイルスが含まれた尿に触れた手で口や目を触ると、出血性膀胱炎を引き起こす、アデノウイルス「11型」あるいは「21型」に感染する可能性があります。

アデノウイルスと同じような症状が出現する感染症はあるのか

アデノウイルスと同じような症状が出現する感染症は、数多く存在します。

咽頭結膜熱(プール熱)と同じような症状が出現する感染症として、「溶連菌感染症」「インフルエンザ」「川崎病」「マイコプラズマ感染症」「細菌性呼吸器感染症」の5つが挙げられます。

また、流行性角結膜炎(はやり目)と同じような症状が出現する感染症として、「クラミジア」「ヘルペス」「淋菌」の3つが挙げられます。

さらに、アデノウイルスによる胃腸炎と同じような症状が出現する感染症に「ロタウイルス感染症」があります。

アデノウイルスに感染すると出現する症状が出ているからといって、その症状の原因がアデノウイルスとは限りません。
アデノウイルス感染症の症状が出ている場合は、自身で判断せず、早めに病院やクリニックを受診して、医師の指示を仰いでください。

アデノウイルス感染症の診断方法

次に、アデノウイルス感染症の診断方法について解説します。
アデノウイルス感染症の診断には、迅速診断キットが用いられます。

喉や目を綿棒でこすって検体を採取する、あるいは患者の便を試薬に作用させると、15〜20分程度でアデノウイルスに感染しているかどうかを診断可能です。

ただし、アデノウイルスの検査で使う迅速診断キットの感度は100%ではありません。
そのため、迅速診断キットの結果が陰性であっても、「アデノウイルスに感染していない」とは言い切れないため、注意が必要です。

迅速診断キットを用いて検査する前に、症状や病歴を医師に尋ねられます。
アデノウイルスの流行状況や、症状・病歴を踏まえて、医師が「アデノウイルスの迅速検査が必要」と判断した場合、迅速診断キットによる検査が行われるのが一般的です。

ただし迅速診断キットでは、「アデノウイルスに感染しているかどうか」のみがわかります。
アデノウイルスの51の血清型のうち、どの血清型のアデノウイルスに感染しているかどうかは、迅速診断キットではわかりません。

アデノウイルスの血清型を調べる場合は、採取した検体を培養・分離して、解析する必要があります。

またアデノウイルスに感染している場合、血液検査において、白血球や炎症反応(CRP)の値が高くなる場合が多いです。

アデノウイルス感染症の検査について(保険適応なのか)

迅速診断キットを用いたアデノウイルス感染症の検査を受ける場合、費用はどれぐらい必要なのでしょうか?

喉や目を綿棒でこすって検体を採取して検査する場合で、医師が「アデノウイルスの検査が必要」と判断した場合は、保険適応となります。

しかしそれ以外の場合や、患者や家族の希望でアデノウイルスの検査を受ける場合、検査に必要な費用は、実費負担です。

アデノウイルスの検査は、保険適応の場合で数百円〜2,000円程度、実費負担(保険が適応されない)場合で、2,000円〜5,000円程度となっています。

アデノウイルス感染症の検査を受けるタイミング

アデノウイルスが流行しやすい夏の時期に、喉の痛みや目の充血がある場合、あるいは保育園や幼稚園・学校でアデノウイルスが流行している場合は、早めに病院を受診するのがおすすめです。

症状や流行状況を踏まえ、医師が必要と判断すれば、迅速診断キットを用いたアデノウイルスの検査が行われます。

重症化しやすい子どもの特徴

生後14日以内の新生児がアデノウイルスに感染した場合、感染が全身に広がってしまい、重症化しやすいと言われています。

新生児がいる家庭でアデノウイルスの感染者が出た場合は、できるだけ新生児と患者が接触しないようにしてください。

アデノウイルス感染症の後遺症

アデノウイルスに感染し、流行性角結膜炎(はやり目)を起こした場合、以下の後遺症に注意が必要です。

  • 周りの物が、ぼやけて見える
  • 明るい物をまぶしく感じる
  • 目がコロコロする

上記のような後遺症は、アデノウイルスが感染して黒目に炎症を起こしたことによるものです。
上記の3つの症状がある場合は眼科を受診し、ステロイド剤を含んだ点眼薬を処方してもらいましょう。

目に起こっている炎症の度合いによって、点眼薬の種類は変わってきます。
そのため定期的に眼科を受診して、症状に合った点眼薬を処方してもらうことが大切です。

アデノウイルスの感染による目の後遺症の治療には、数ヶ月から1年ほどかかる場合があります。
一旦症状がよくなっても、再発する可能性も高いため、要注意です。

なお、アデノウイルスに感染して咽頭結膜熱(プール熱)を起こした場合、後遺症はないと言われています。

アデノウイルス感染症が疑われる場合、小児科を受診するタイミング

アデノウイルスには、直接効果のある薬やワクチンが存在しません。 そのため病院を受診すると、症状を和らげる対症療法が行われます。

発熱しながらも、水分の摂取が可能で、睡眠も十分にとれている場合は、急いで受診する必要はありません。 しかし以下の状況にあてはまる子どもは、小児科の受診をおすすめします。

  • 3か月未満で、アデノウイルス感染症が重症化する可能性がある子ども
  • なかなか水分を摂取できず、ぐったりしている
  • 排尿の回数や量が、普段よりも減っている

子どもがなかなか水分を摂ろうとせず、ぐったりとしている場合は、脱水症状を起こしている可能性があります。 アデノウイルスに感染すると、喉の痛みが出て水分を摂りにくくなりがちです。

脱水症状が出ていると考えられる場合は、できるだけ早めに小児科を受診し、点滴で水分や電解質を補充しましょう。

アデノウイルスに感染して胃腸炎を引き起こし、下痢の症状がある場合はとくに、脱水症状を起こしやすいため、注意が必要です。

子どもの患者が多いがアデノウイルスは大人も注意

アデノウイルスは、子どもの間で流行することが多い感染症です。
しかし保育園や幼稚園・学校に通っている子どもがいる家庭では、ウイルスに感染した子どもから大人に、アデノウイルスが感染する可能性があります。

またストレスや疲労が蓄積している、あるいは睡眠不足の場合、大人もアデノウイルスに感染しやすくなってしまうので、注意が必要です。

アデノウイルスに感染した大人の症状と仕事への対応

大人がアデノウイルスに感染した場合の症状は、子どもと同じです。
流行性角結膜炎(はやり目)を起こした場合は、「ぼやけて見える」「まぶしい」などの後遺症に注意してください。

  • 発熱 ( 38~39℃以上の発熱が2~3日)
  • 激しい咳
  • 鼻水や鼻詰まり
  • 咽頭炎(赤み、喉の痛み、腫れ)
  • 結膜炎(目の充血、目やに)

またアデノウイルスは比較的高い感染力を持っているので、感染した場合は症状が改善するまで出勤を控えることを推奨します。無理に勤務を続けると、同僚に感染を広める危険性があります。

さらに、症状が消えた後も、しばらくウイルスの排泄は続くためマスク着用、頻回な手洗いをすることが望ましいです。

高齢者が感染した場合

高齢者がアデノウイルスの血清型のうち「7型」に感染した場合、肺炎を起こして重症化する可能性があるため、注意が必要です。

とくに免疫力が低下している高齢者がアデノウイルスに感染すると、重症化する危険性が高いため、感染予防を徹底してください。

また高齢者がアデノウイルスの血清型のうち、「31型」「40型」「41型」に感染して胃腸炎を起こした場合、脱水症状になりやすいため、要注意です。

可能な範囲で水分摂取を促すとともに、口から十分な水分を摂取するのが難しい場合は、点滴をおこなって水分や電解質を補充する治療を行います。

妊婦の感染が疑われた場合

アデノウイルスによる胎児への有害事象は、報告されていません。
そのため妊婦がアデノウイルスに感染しても、胎児に影響を及ぼす心配はありませんので、安心してください。

ただし妊娠中は免疫力が低下しやすいため、アデノウイルスはもちろん、その他のウイルスや細菌に感染しやすい状態です。
手洗いやうがいを徹底し、アデノウイルスを含めた感染症への予防行動をしっかりとおこなってください。

アデノウイルスは発熱しないこともある?熱が出ない場合

症状としては目が充血し、目やにが現れる場合、結膜炎という感染症を起こしてる可能性が考えられます。咽頭結膜熱(プール熱)のような高熱はなく、のどの赤みも出ません。

しかし感染力が非常に強いため、目をこすり、その手や触れたものを介して感染が広がること避けるためにも、予防や対策も大切になります。

アデノウイルス感染症の治療

次に、アデノウイルス感染症の治療に関して解説します。

アデノウイルスに直接効く薬やワクチンは、2022年時点では残念ながら開発されていません。
薬やワクチンの開発が進められていますが、まだ実用化に至っていないのが現状です。

アデノウイルスに直接効果のある薬やワクチンがないため、アデノウイルスの治療は、対症療法(症状を和らげる治療)が中心となります。

アデノウイルスに感染して発熱や嘔吐・下痢がある場合は、脱水状態になりやすいため、水分摂取を促します。
可能であれば、水分と同時に塩分も補給できる「経口補水液」を常温で飲むのがおすすめです。

十分な水分摂取が難しく、脱水状態になってしまった場合は、点滴により水分や電解質の補充を行います。
体力の消耗をできるだけ少なくするため、安静にするのも治療の1つです。

目の症状が強い場合は、眼科の診察が必要になる場合もあります。

結膜炎の症状がある場合、アデノウイルスに加えて細菌にも感染するのを防ぐため、ステロイドや抗菌薬が入った点眼薬が処方されます。
目の症状が片方のみの場合は、症状がある目のみに点眼薬を使用しましょう。

またステロイドの点眼薬を長期間使用すると、白内障や緑内障を引き起こす可能性があります。
むやみにステロイドの点眼薬を使用するのは、危険です。

定期的に眼科を受診して、ステロイドの点眼薬の使用を継続する必要があるかどうか、医師に確認するようにしてください。

子どもがアデノウイルスに感染した場合、家庭ですべきこと

ここでは、子どもがアデノウイルスに感染した場合に、家庭ですべきことについて解説します。

アデノウイルスは感染力が強いウイルスです。 そのため、家庭内では感染している子ども以外の家族にアデノウイルスの感染をできるだけ広げなくて済むよう、すべきことが複数あります。

子どもがアデノウイルスに感染したら、家庭では以下の10つのことに注意するようにしましょう。[5]

  • 普段以上に、手を流水と石鹸でしっかり洗う
  • できるだけ人混みは避ける
  • 医師の許可が出るまで、保育園や幼稚園・学校への登園や登校はしない
  • 医師の許可が出るまで、プールには入らない
  • 炎症を広げないよう、「目を触らない」「目をこすらない」と子どもに伝える
  • タオルや食器は、アデノウイルスに感染している子どもと他の家族の間で、共用しない
  • 子どものオムツ交換後は、手洗いを励行する
  • 子どもが触れるドアノブや手すりなどを次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
  • しっかり睡眠をとって休養し、免疫力を高める
  • 体を冷やさないよう、エアコンのある場所に出かける場合は、上着を持って行かせる

またアデノウイルスに感染すると、発熱し、喉の痛みも出現します。
普段通りの食事が摂取できる場合は、普段通りの食事で構いません。
しかし喉の痛みが強く、普段通りの食事を食べにくい場合は、以下のような口当たりのよい食事を子どもに与えてください。

  • 十分に冷ました雑炊
  • グラタン
  • プリン
  • ゼリー
  • アイスクリーム

なお、酸っぱいものや辛いものは刺激が強く、喉の痛みが強いアデノウイルスの患者には不向きです。
刺激が強い食べ物はできる限り避けて、飲み込みやすい食事を意識してください。

アデノウイルスに感染したら保育園や幼稚園の登園はいつからできる?

出席停止期間は症状が治まって2日後まで

アデノウイルスによる感染症のうち、「咽頭結膜熱(プール熱)」と「流行性角結膜炎(はやり目)」は、学校保健安全法で「学校感染症」として、出席停止期間の基準が定められています。

出席停止期間の基準は、以下の通りです。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)の場合:主な症状が消失した後、2日を経過するまで
  • 流行性角結膜炎(はやり目)の場合:医師が「他の人に感染させる恐れがない」と認めるまで

上記のように出席停止期間が法律で決まっているため、アデノウイルスに感染して「咽頭結膜熱(プール熱)」または「流行性角結膜炎(はやり目)」の症状が出現した場合は、子どもが登園・登校している保育園や幼稚園・学校に、すみやかに報告してください。

アデノウイルスに感染した場合の登園・登校許可証について

アデノウイルスによる「咽頭結膜熱(プール熱)」または「流行性角結膜炎(はやり目)」の症状が出現した場合、学校保健安全法による出席停止が求められています。

そのため、「咽頭結膜熱(プール熱)」または「流行性角結膜炎(はやり目)」の症状が出た場合は、保育園や幼稚園・学校への登園や登校が禁止されます。

咽頭結膜熱(プール熱)の場合は、主な症状が消失し2日が経過、流行性角結膜炎(はやり目)の場合は、医師が「他の人に感染させる恐れがない」と認めた場合、登園や登校を再開可能です。

保育園や幼稚園・学校には、医師に記載してもらった「登園許可証」あるいは「登校許可証」を提出してください。

「登園許可証」や「登校許可証」は、アデノウイルスの治療をしてもらった病院やクリニックで記載してくれます。
保育園や幼稚園・学校で指定の許可証がある場合は、その許可証を持参して、医師に記載してもらいましょう。

アデノウイルスの感染を予防する方法

次に、アデノウイルスに感染するのを予防する方法について解説します。
アデノウイルスの感染を予防する方法は、以下の7つです。

  • 流水と石鹸による手洗いを励行する
  • うがいを励行する
  • マスクを装着する
  • 患者と同じタオルを使わない
  • 室内を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
  • プールに入った後はシャワーを浴びる
  • プールを塩素で十分に消毒する

1つずつ順番に解説していきます。

流水と石鹸による手洗いを励行する

アデノウイルスは、患者の咳やくしゃみを吸い込んで感染する「飛沫感染」に加え、ウイルスが付着した手や指を介して「接触感染」します。 そのため流水と石鹸による十分な手洗いが、アデノウイルスの感染予防に有効です。

またアデノウイルスに感染すると、症状がよくなった後も30日ほど、患者の便の中にアデノウイルスが排泄されます。
患者の便からの感染を防ぐため、トイレの後・オムツ交換をした後は、流水と石鹸でしっかりと手洗いをおこなってください。[15]

アデノウイルスは、患者の飛沫に加え、ウイルスが付着した手や指を介して感染する(飛沫感染・接触感染)ため、感染予防には手洗いが大変重要です。

それではここで、アデノウイルスへの感染を防ぐための「正しい手の洗い方」をお伝えしますので、ぜひ実践してみてください。

  1. 流水で手をよく濡らす
  2. 石けんをつけ、手のひらをしっかりとこする
  3. 手の甲を伸ばすようにしっかりこする
  4. 指先や爪の間をしっかりとこする
  5. 指の間を洗う
  6. 親指をねじって洗う
  7. 手首を洗う

30秒程度かけて、上記の手順通りにしっかりと手洗いをおこなってください。
手洗いをすべきタイミングを以下に記載します。

  1. 外から帰宅したとき
  2. トイレの後
  3. 食事の前
  4. 調理する前後
  5. 手すりやドアノブなど、多くの人が触る場所に触れた後
  6. 咳やくしゃみをした後や、鼻をかんだ後
  7. 風邪症状のある患者と接した後

上記の手順を2回行うと、感染予防効果が高まるのでおすすめです。

うがいを励行する

患者の咳やくしゃみによる飛沫を吸い込むと、アデノウイルスに感染する可能性が高いです。
アデノウイルスに感染した患者は、症状がよくなった後も2週間ほどの間、喉からウイルスを排出しているため、注意が必要です。

口から入ったウイルスを除去するために、うがいを励行するのがアデノウイルスの感染予防になります。

マスクを装着する

アデノウイルスに感染している患者が近くにいて、咳やくしゃみをした場合、ウイルスの飛沫を吸い込んでしまう可能性があります。

ウイルスが口から体内に入るのを防ぐためにマスクを装着するのも、アデノウイルスの感染予防の1つです。

患者と同じタオルを使わない

アデノウイルスに感染している患者が使ったタオルを共用しないようにしましょう。

アデノウイルスは、熱に弱いウイルスです。
患者が使ったタオルは、85度以上の熱湯で1分間以上、煮沸消毒するようにしてください。

タオルの煮沸消毒が難しい場合は、タオルを使用せずに、使い捨てのペーパータオルを使うと、感染予防になります。

室内を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する

アデノウイルスは2本鎖のDNAウイルスで、エンベロープ(脂質性の膜)を持たないウイルスであるため、アルコール消毒剤が効きにくいのが特徴です。

そのため、アデノウイルスが付着している可能性のある室内を消毒する場合は、次亜塩素酸ナトリウムを使いましょう。

次亜塩素酸ナトリウムの適切な濃度は、200〜1,000ppmです。
アデノウイルスは、環境で10日以上生き残る可能性があります。
患者が触れたドアノブや手すりは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行い、感染予防に努めてください。

ただし、次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用があります。
次亜塩素酸ナトリウムで色のついたものや柄があるものを消毒する場合は、色や柄が薄くなってしまう可能性があるため、気をつけてください。

また次亜塩素酸ナトリウムで室内を消毒する場合は、しっかりと換気を行うとともに、ゴム手袋や眼鏡を装着して作業しましょう。

酸性の漂白剤と、次亜塩素酸ナトリウムを一緒に使うと、塩素ガスが発生して危険です。次亜塩素酸ナトリウムで室内を消毒する際は、酸性の漂白剤と一緒に使うことがないよう、注意してください。

プールに入った後はシャワーを浴びる

アデノウイルスが流行している時期にプールに入った場合は、体にウイルスが付着している可能性があります。

プールの後はできるだけシャワーを浴びて、体に付着しているウイルスを洗い流すことが、アデノウイルスの感染予防になります。

またアデノウイルスに感染していると診断された場合は、学校保健安全法に規定されている通り、医師の許可があるまでプールに入ってはいけません。
プールに入ってしまうと、アデノウイルスを周りの人に感染させてしまう危険性があります。

プールを塩素で十分に消毒する

夏の時期にプールでアデノウイルスの感染が流行している場合は、プールを塩素で十分に消毒するのが、アデノウイルスの感染予防となります。

プールの塩素濃度は、遊離残留塩素濃度を0.4mg/l以上、1.0mg/l以下の適正な濃度に調整するようにしてください。

プールの消毒は、塩素剤を入れただけで完了するわけではありません。

プールの残留塩素濃度は、プールで泳いでいる人の汗や水着の汚れ・直射日光などにより、徐々に薄くなっていきます。
そのため、専用のキットで15分から1時間おきに残留塩素濃度を測定し、適正な濃度が保たれているか確認する必要があります。

またアデノウイルスによる咽頭結膜熱は「プール熱」と呼ばれることもあるため、「プールに入ったら、アデノウイルスに感染するのでは?」と心配する人がいます。
しかし、残留塩素濃度の管理が適正に行われているプールでは、アデノウイルスに感染する可能性は少ないため、安心してください。

アデノウイルスと似た症状を引き起こす感染症について

最後に、アデノウイルス感染症と似た症状を引き起こす感染症と、アデノウイルス感染症の違いについて解説します。 解説する疾患は、以下の4つです。

  • 溶連菌感染症
  • 川崎病
  • ヘルペス性結膜炎
  • ロタウイルス

1つずつ順番に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

溶連菌感染症と、アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)の違い

溶連菌感染症は名前の通り、溶連菌という細菌がのどに感染する病気です。
溶連菌の正式名称は、「A群β溶血性連鎖球菌」と言います。

溶連菌感染症には1年を通して感染する可能性がありますが、流行しやすい時期は、冬から春にかけてです。
一方で咽頭結膜熱(プール熱)も1年を通して感染する可能性がありますが、流行しやすい時期は、夏です。

主な症状である発熱と喉の痛みに加え、首から胸にかけて細かい発疹が出現するのが、溶連菌感染症の特徴です。

一方で咽頭結膜熱(プール熱)でも発熱と喉の痛みを伴いますが、発疹は出現しません。また咽頭結膜熱(プール熱)では4〜5日ほど高熱が続き、1日の中で、体温が上がったり下がったりを繰り返す「弛張熱」を起こすのが、咽頭結膜熱の特徴と言えます。

咽頭結膜熱(プール熱)の潜伏期間は5〜7日である一方、溶連菌感染症の潜伏期間は2〜4日とやや短めとなっています。

咽頭結膜熱(プール熱)・溶連菌感染症ともに、迅速診断キットを用いて検査をおこない、15〜20分程度で検査結果がわかります。

溶連菌感染症の感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」で、咽頭結膜熱(プール熱)と同じです。

咽頭結膜熱(プール熱)に効果のある薬はなく、治療は症状を和らげる「対症療法」が中心です。
一方で溶連菌感染症では、抗菌薬を用いた治療をおこないます。

処方された抗菌薬の内服を途中でやめてしまうと、腎炎やリウマチ熱を引き起こす可能性があります。
そのため、たとえ症状が治まっても、処方された抗菌薬は最後まで飲み切るようにしてください。

関連記事
溶連菌感染症とは?原因・症状・治療方法について解説

川崎病と、アデノウイルス感染症の違い

川崎病は4歳以下の乳幼児が発症することが多い、原因不明の病気です。
全身の血管に炎症が起きて、様々な症状が出現するのが特徴です。

川崎病の主な症状は、以下の7つです。

  1. 発熱
  2. 結膜(白目の部分)が赤くなる
  3. 首のリンパ節が腫れる
  4. 発疹
  5. 口唇が赤くなる
  6. いちご舌
  7. 手が赤くなって腫れる

上記の症状のうち、①〜④はアデノウイルス感染症でも出現します。 川崎病とアデノウイルス感染症は症状が似ているため、診断が難しいと言われています。

川崎病を発病した子どもの約3%は、心臓に栄養を送っている「冠状動脈」に炎症が起きて、動脈瘤(こぶ)ができます。 動脈瘤ができると血管が狭くなる上に、血のかたまりで冠状動脈が詰まってしまい、将来的に狭心症や心筋梗塞を発症してしまう危険性があります。

そのため川崎病を発病した場合は、冠状動脈に炎症が起きるのを防ぐため、高熱がある場合は解熱剤を使い、できる限り早めに熱を下げる治療を行います。

一方でアデノウイルス感染症の発熱は3〜5日程度で治まることが多く、急いで解熱剤を使う必要はありません。

ただし発熱が続くと脱水状態になりやすいため、水分の摂取をできる限り促します。 十分な水分摂取が難しい乳幼児が脱水状態になってしまった場合は、点滴で水分や電解質を補充する治療を行う場合もあります。

ヘルペス性結膜炎と、アデノウイルスによる流行性角結膜炎(はやり目)の違い

結膜炎とは、白目とまぶたの裏側を覆っている「結膜」に炎症が起きる病気です。
いつも外気にさらされている結膜は、ウイルスや細菌が繁殖しやすいと言えます。

ヘルペス性結膜炎は名前の通り、ヘルペスウイルスが原因の結膜炎です。
子どもが初めてヘルペスウイルスに感染した場合に、ヘルペス性結膜炎を発症することが多いと言われています。

ヘルペス性結膜炎では、結膜が充血し、目やにが出ます。
症状は片目のみに現れることが多いです。

また目の周りの皮膚に、水疱ができることもあります。
水疱ができた場合は、ヘルペスに効く軟膏で治療を行います。

一方で流行性角結膜炎(はやり目)は、アデノウイルスが原因で、感染力が非常に強いのが特徴です。
ヘルペス性結膜炎と同じく、結膜が充血して目やにが出ます。

ただしヘルペス性結膜炎よりも、流行性角結膜炎(はやり目)における結膜の充血は強く、結膜が真っ赤になります。
目の痛みが出る人もいますが、かゆみはありません。

また流行性角結膜炎(はやり目)では、大量の目やにが出るのが特徴です。
発症してすぐは片目のみに症状が出ますが、数日後、反対側の目にも同じ症状が出る場合が多いです。

さらに、流行性角結膜炎(はやり目)の症状が悪化して角膜(黒目)が濁ってしまうと、視力が低下する恐れがあり、注意が必要です。
流行性角結膜炎(はやり目)による角膜の濁りが、数ヶ月に渡って続く人もいます。

ロタウイルスによる感染性胃腸炎と、アデノウイルスによる感染性胃腸炎の違い

感染性胃腸炎とは、様々な原因による胃腸炎の総称です。

体力が弱めの乳幼児や高齢者が感染性胃腸炎を発症すると、自分自身の吐物で窒息したり、十分な水分摂取ができないために脱水症状になったりと、重症化する危険性が高いため、注意が必要です。

感染性胃腸炎の原因となるものは、大きく分けて「細菌」と「ウイルス」の2つがあります。
ここでは、ロタウイルスおよびアデノウイルスによる感染性胃腸炎の特徴や症状について解説します。

ロタウイルスには0〜2歳の子どもが感染することが多く、5歳までに、ほとんど全員の子どもが1度はロタウイルスに感染します。 ロタウイルスの潜伏期間は2〜4日で、流行時期は2月から5月です。

ロタウイルスによる感染性胃腸炎の主な症状は、以下の4つです。

  • 嘔吐
  • 水のような下痢(白色の便)
  • 腹痛
  • 発熱

他のウイルス性胃腸炎と比較して、脱水症状を起こしやすいのがロタウイルスの特徴です。
乳幼児には、ロタウイルスのワクチンがあります(任意接種)。

一方でアデノウイルスは、子どもが感染することが多いウイルスです。
アデノウイルスの潜伏期間は3〜10日と長めで、流行時期は涼しく乾燥した時期ですが、1年を通して感染する可能性があります。

アデノウイルスによる感染性胃腸炎の主な症状は、以下の6つです。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 微熱
  • 気分不良

乳幼児がアデノウイルスに感染して胃腸炎を発症すると、重症化する可能性がありますが、症状が出ない場合もあります。
アデノウイルスには、ワクチンはありません。

ロタウイルスによる感染性胃腸炎も、アデノウイルスによる感染性胃腸炎も、治療は同じです。

どちらも嘔吐や下痢が続いて脱水症状を起こしやすいため、水分摂取を促します。
十分な水分摂取が難しい場合は、点滴で水分や電解質の補充を行います。

とくに乳幼児や高齢者では、自分自身の吐物を喉につまらせて窒息してしまう危険性があるため、注意深い観察が必要です。
感染性胃腸炎の患者が下痢止めを使うと、ウイルスの体外への排出を妨げてしまうため、できる限り使用しないほうが基本です。

参考文献

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME